社会人も必見「東大リスニング問題」超攻めた中身 来たるべき未来を予知していたような問題が多数
では、受験生はどのような対策を立てればいいのか。具体的なトレーニング法については、限られたスペースでは到底書き尽くせるものではありません。ここでは、1点だけ、東大を目指すうえでの基本的な姿勢について強調したいと思います。
本来、英語学習とは、入試に合格するための通過儀礼ではなく、知を吸収するためのツールを習得する場であるべきです。東大のリスニングは、この忘れられがちな理念を体現して伝えてくれています。英語という言語を通じて「世界にはこんな考え方があり、世界はこんな方向に進んでいるんだ」ということを教えてくれるのです。
日常から知を吸収する行為を楽しむ
受験生は、小手先の受験テクニックに走るのではなく、東大のメッセージを真摯に受け止め、日常から英語を通じて知を吸収するという行為を楽しむ習慣を身に付けるべきでしょう。
幸いなことに、今ではインターネット環境さえあれば、良質な英語の音声素材がいくらでも手に入りますし、その多くはTranscriptも公開されています。
高校生に一番人気なのはTEDです。さまざまなジャンルの専門家の生の声が聞けます。知の幅を広げるには最適の素材でしょう。理系の生徒は Scientific Americanの60-Second Scienceで最先端の科学の話題が学べます。英語のスピードについていけない人には、VOA Learning Englishのようなゆっくり読んでくれているサイトが便利。レベルの高い生徒や、講師の研鑽用にはThis American Lifeがおすすめ。中毒になるくらいの面白さです。
私は5年前、12年間分に相当するオリジナル問題を収録した『東大英語リスニング』という問題集を執筆しました。可能な限り東大の形式に似せるべく、知的好奇心をくすぐるトピックを集め、さまざまなアクセントを持つ14人のナレーターを起用し、今年刊行した改訂版では選択肢をすべて4択から5択に作り直しました。
このように東大を模しているのは、東大受験のためのトレーニング本としての効果を高めるためでもありますが、それと同時に、知の最先端を見せ続けてくれている東大へのオマージュを込めるという意味もあるのです。
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