日本人は急速な人口減の深刻さをわかっていない 今後10年で1100万人減の現実にどう対処するか

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経済で考えれば外国人増加の方向に向かうのがいいと思う反面、日本文化という観点では移民を認めたくない日本人が多い。この問題は本当は社会全体でもっと議論されるべきです。その議論をしないとどうなるかというのが現在の状況で、国民がそう認識しないうちに日本の実質移民国家化が進んでいる。まさにドラマ『日本沈没』で描かれたような情報開示のせめぎ合いが、隠れ移民国家化を引き起こしているのです。

さて日本の人口減少による社会沈没からの回避策として2つめに検討すべきはDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

私は先日もDXに関係してJA(農業協同組合)の方と議論をする機会があったのですが、とくに農村部において人口問題を回避していくためには移民では間に合わずDXを主な解決策として想定する必要があると私は強く思います。

日本が移民国家に向けて今以上に大きく門戸を広げるのであれば話は別ですが、少しずつ外国人を増やすという今の政策が現実策である以上、その増加人口の大半は都市部に集中します。外国人の若者だって日本人同様、都市部で働きたいのです。

農村部の人口減少問題はより早く深刻化

その結果、農村部では都市部よりも早く人口減少問題が深刻化します。若い労働力が日本全体で足りなくなることで今はそれほど過疎化していない農村部でも、孤立した高齢者世帯をどうするかなど限界集落化問題が表面化します。

一方でDX活用による農村部の限界集落化阻止のビジョンを先にイメージすれば、向かうべき方向は見えてくるでしょう。2040年ごろを想定した日本の農村部はこれから示す文章のようにありたいものです。

舞台となるのは市町村の人口5万人程度、集落としての世帯数は数十戸の農家が主体の集落です。コンビニやJRの駅までは車なら15分ですが歩けば1時間はかかります。中心部のスーパーマーケットやホームセンターは車で30分といった立地で、2021年の前提条件であれば車とそれを運転する家族がいなければ生活が難しい場所でした。

それが2040年では5Gと自動運転の電気自動車とドローンやクリーンエネルギーの普及などで様変わりします。

次ページDXが進んだ2040年の集落の姿は?
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