「疲れが取れない人」がついやってしまうNG姿勢 「胸を張って立つ」をつい心掛けていませんか?

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具体的には以下の方法で歩きます。

【疲れない歩き方】
①骨盤幅(骨盤の横幅)で歩く
②前に踏み出す足は、そっと引き上げて、体の少し前に落とす
③かかとからではなく、足裏全体で着地する(その際、足の指で地面をつかむように)
④同時に、後ろに残った足をスッと引き上げる(その際、足首を伸ばす)
⑤つねに着地している足に体の重心があるようにする(耳、肩、骨盤、着地した足を一直線にする
基本の疲れない歩き方は、かかとではなく足の裏全体で着地することが大切。この歩き方こそ、人類の体に合った本来の歩き方である

この歩き方をすることで、かかと着地を防ぎ、足の指で地面をしっかりつかむことができます。また、足首の角度が鋭角になるのを防げます。

人類は太古よりこのように歩いてきました。かかとから着地するようになったのは、現在のようなソールの厚い靴ができ、道路が整備されて、足裏全体で着地をしなくても歩ける環境に変化したからです。

長い歴史の中で、人類はずっと岩場や道ならぬ道を歩いてきました。そういった厳しい環境で「かかとから着地して歩く」ことなどできるはずがありません。足裏全体でしっかり地面をキャッチしなければ、バランスをとれないからです。

つまり、人の体は、骨格的に「かかとから着地して歩くようにできていない」のです。現代人が「かかとから着地して歩くと疲れる」理由はここにあります。

この歩き方を実践すると、歩幅がいつもより狭くなります。そのため、スピードが出ないように感じられるかもしれません。

しかし、この歩幅こそ、もともと人間にあった歩幅だと言えるのです。スピードを上げたいときは、歩幅を伸ばすのではなく、一歩一歩のピッチを上げるようにしましょう。

「疲労」はもはや国民病

いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介した「立ち方」「歩き方」は、激しい試合や過酷なトレーニングによって、疲れ切ったアスリートに対し、私がおこなってきた指導を、一般の方が日々の生活のシチュエーションで使えるように試行錯誤し、落とし込んだものです。

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日本は「疲労大国」です。

文部科学省の疲労研究班が行った調査では、日本人のおよそ6割は「慢性的な疲労を抱えながら暮らしている」そうです。

また、ビジネスパーソン3000人を対象に実施された最新のアンケート調査では、なんと8割以上の人が「日頃から疲れを感じている」と回答しています。

疲労は痛みや発熱とともに、生体の3大アラームと言われています。そのまま放置していると「過労死」という最悪な事態に陥りかねません。

その後押しをしてしまっているのが、普段、自らとっている姿勢だとしたら、まずすべきはマッサージでもストレッチでもなく、正しい姿勢と動作を身につけることといえるでしょう。

ぜひこの機会に普段の1つひとつの姿勢や動作を見直し、あなたの人生を邪魔し続けてきた「疲れ」を撃退してください。

夏嶋 隆 メディカルトレーナー

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なつしま たかし / Takashi Natsushima

動作解析専門家。大阪体育大学サッカー部、関西国際大学サッカー部トレーナー。1957年生まれ、大阪府出身。大学を卒業後、実業団バレーボール部の指導者としてキャリアをスタート。当時無名だった久光製薬バレーボール部を国体優勝に導き一躍注目されるが、大怪我をきっかけに手技療法の道に進む。人間の動作を観察・記録し、科学的アプローチを背景にした、人間が本来持つ力を引き出す指導をする、動作解析の専門家として活躍を始める。とくにアスリートからの支持は絶大で、指導を受け活躍する現役選手は、サッカー界だけで30名以上。現在も医者もあきらめるほどの怪我を負った人を救い続けている。

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