人からの相談に「提案や助言」が全く必要ない訳 相手の「思考整理」を手伝うだけがむしろいい
ここでも思考のクセが出て、「どうせ私にはできないし」のようなネガティブな言葉が出たら、「自分にはできないかもという思考の枠はひとまず外して、もし仮に、『今、ここで言ったことは、何でもかなう』のだったら、どうなっていたらいいと思う?」のような質問を投げかけてみましょう。それが枠を外すきっかけになります。
将来を考えるような明るい話題ではなく、相手がトラブルを抱えているときであっても、理想をイメージしてもらうステップは必要です。
たとえば、部下がクライアントと揉めているような場合、現状を聞き出して、「じゃあ、解決策を考えてみよう」となったら、「相手の上司と話し合ってみる」「取引先を変える」のような目先の問題を解決する方法しか出てこないかもしれません。
それだと、部下の気持ちはそれほどスッキリとはならない気がします。
ここで「今後、クライアントとどのような関係を築きたいと思う?」と投げかけてみたらどうでしょう。
クライアントの態度があまりにひどければ「今後、一切関わりたくない」となるでしょうが、たいていは「できれば、もっと対等に接したい」「あんまり無茶なことは押しつけてもらいたくない」のような、関係を続ける前提の発言が出てくるはずです。
その発言を聞いてから、「じゃあ、どんな条件が整えば、その関係になると思う?」と聞けば、思いもよらないような答えが出てくるでしょう。
「一度、思い切って、自分が困っていることを相手に伝えてみます」
「なんでクライアントがムチャぶりばっかりしてくるのか、理由を聞いてみます」
もし、こんな発言が出てきたら、相手は自分で殻を破ったことになります。そうなれば自ら行動しようというモチベーションも生まれるでしょう。
他人から提案されたことには、反射的に否定しやすいネガティブな人でも、自分から生まれた案なら抵抗なく、前に転がり出し、動き始めます。
上司が1000の言葉を尽くして説得するより、自分で導き出した1つのアンサーで、人はエンジンがかかるのです。
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