人からの相談に「提案や助言」が全く必要ない訳 相手の「思考整理」を手伝うだけがむしろいい
ここまで読んで、「Aさんは、この問題をどう解決したの?」と思う方もいるかもしれません。
「悩みごとを解決して結論を出してないじゃないか」と感じる方もいるかもしれませんね。
そうです。このとき僕がしたのは悩みを解決したのではなく、「思考整理」だけです。
このやりとりの最中、僕は相手の状況を聞いて、ずっと質問を投げかけていました。自分の体験談を語ったぐらいで、アドバイスらしきことを一切していません。それでも、Aさんの気持ちはスッキリして、自分で解決策を導き出した様子です。
実際にAさんがどのようにこの問題を乗り越えたのかは、実は聞いていません。それは僕が介入するようなことではなく、Aさんが自分で考えて何らかの行動をとれば解決できると思っています。
この話の流れで僕が「会社以外に、何か趣味でも見つけたらどうですか?」などと提案したら、おそらく「そうですね」で話は終わっていたでしょう。
何も事情を知らない僕が、話をちょっと聞いただけで解決策を示したら、表には出さなくても「そんな簡単な話じゃないんだよ」と思われていたはずです。解決策を示さなくても、相手のイライラやモヤモヤが簡単に消え去る方法。それが「プロの思考整理術」です。
思考整理の際の3つのポイント
このように、相手の思考整理をする方法を、大きく4つのステップにまとめていますが、今回は、話を聞く際に注意したい3つのポイントをピックアップしましょう。
現状についてあらかた聞き出したら、次に「どうしたらいいか」と、いきなり解決の条件を考えがち。ですが、それだと「忙しくて時間がないからムリ」「お金がないから難しい」「今の自分には経験がないからできない」のように、できない理由を挙げたくなります。
意識が現状にとどまったままだと思考は停止してしまうので、いったん理想をイメージしてもらって思考を上向きにさせると、できる方法を考えるようになります。
部下との面談なら、ストレートに「どういう目標を達成したいですか?」と聞いてもいいでしょうし、クライアントに「(このタイトルに関して)どんな状態になれば理想的ですか?」のように尋ねてもいいでしょう。
「次のステージに移ったらどうなっていたいですか?」
「将来的にはどうしたいですか?」
「どうなっていたら、その問題が解決したと言えますか?」
「今より上の階層で関われるとしたら、どうなりますか?」
このように、近い未来や遠い未来をイメージするような質問を投げかけます。
「10年先の自分はどうなっていると思う?」
「100点満点の状態はどんな感じ?」
といった数字を入れると、イメージしやすくなる効果があります。
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