アジアでも男性化粧品、マンダム"次の一手" 成長牽引のインドネシアが伸び鈍化
創業家出身の西村元延社長は「アジアは“人口のボーナス期”に入ったところ」と分析する。一方で「平均所得には意味がない」とも説く。
たとえば、インドネシアは1人当たりGDP(国内総生産)が3500ドルを超えたが、地方都市に行くと、整髪料を小分けにして割安な価格で提供しなければ売れない。逆に、都市部では現地仕様の商品ではなく、日本仕様の商品を日本と同じ価格帯で買ってくれる顧客もいる。アジアの量的拡大を取り込むには、平均を探って展開しても意味がないというわけだ。
アジアはホットマーケットであり、世界に冠たる化粧品会社がすべて出てきている。それでも、「男性用のトータルグルーミング(身だしなみ)を提案できるのは、うちしかない」と、西村社長は自信を隠さない。
国内ではミドルに照準
その一方で、今なお売上高、営業利益ともに過半を占める国内の対策も進める。
実は日本国内のスタイリング市場は、2001年と比べると4割近く縮小しているという。特に若者向けが振るわない。今後、日本の人口構造の変化や市場特性を考えた場合、成長性を担保するには、ミドル・シニア市場をいかに攻略していくかが、大きなカギとなってくる。
しかし、これまで若年層をコアターゲットとしてきたために、ミドル・シニア市場において、マンダムの存在感は非常に小さかった。そこで今、マンダムがくさびを打ち込むべく投入したのが、30~40歳代の男性に特有のニオイである「ミドル脂臭」の対策グッズだ。
この3月からは、ミドル脂臭対策の一連の商品を手に、国内の主戦場である家庭用から飛び出し、理美容専門店にも戦線を拡大している。日本は、世界に先駆けて人口が減少している希有なマーケット。これまで手つかずだった分野でどれだけ強みを発揮できるかが、マンダムの今後を占う試金石となる。
(「週刊東洋経済」2014年9月6日号<9月1日発売>掲載の「核心リポート03」を転載)
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