受験生「自力で学べる子」「学べない子」の決定的差 最上位層が実践する習慣を身につけるコツ

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「自学力」を育てるタイミングとして高校受験をお勧めするのは、定期テストが存在するからでもあります。

まず、出題範囲が設定されているので計画が立てやすい。点数や順位という指標があるので目標も明確に立てやすい。また、順位や点数という結果がすぐに出てきますので、それをもとに反省やPDCAサイクルを回しやすいのです。その修正・改善の積み重ねの先に高校受験があります。

どのくらいの順位を獲得したいのか、そのためにはどのくらい点数をとればいいのか、そのためには何をすればいいのか、それをこなすにはいつから始めればいいのか、授業はどう受けるべきか、先生は何を出題してくるか、みんなと差がつけられることはないか、自分に負けてサボっていないか、苦手な科目から逃げていないか、得意な科目をより早く仕上げる方法は、と、自己対話の型を身につけるにはとてもいい時期です。そしてそれを引き出してあげるコミュニケーションが大人には求められます。

自己対話が社会への想像力や優しさにつながる

合理的で効率的なことを追い求めてきた時代の勢いはなくなり、正解のない時代がやってきました。地球環境問題や貧困・格差など簡単には解決できない問題に取り組んでいく時代です。

『名門公立高校受験道場流 自学力の育て方 受験突破だけで終わらないために』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そこでは問いを立てる力、安易に答えようとせずにじっくり思考する忍耐力、そしていろいろと行動・修正しながらあるべき方向へ一歩一歩進んでいくしなやかさが必要です。自己対話を豊かにし、社会を豊かにしてくれる子どもたちが増えていくといいなと思います。

また、他者を理解し、多様性を尊重できるかという視点も重要になってくるでしょう。それに必要な想像力や自己対話が、社会への想像力や優しさにつながります。「優」という字は、「優れている」とも「優しい」とも読みますよね。

せっかく高校受験に挑戦するのであれば、合否や成績だけを気にするのではなく、自学力を磨く受験、心を耕し、根を伸ばすような受験、教養で志を磨く受験をしてほしいと思います。自己変革が優しさに、そして社会変革につながっていくのです。

一柳 忠宏 「名門公立高校受験道場」主宰

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いちやなぎ ただひろ / Tadahiro Ichiyanagi

1979年生まれ。県立浦和高校、早稲田大学商学部卒業。現在、雄飛教育グループ代表。県立浦和高校受験専門塾「雄飛会」・現役合格専門塾「文武修身塾」を運営。AO入試推薦小論文専門塾「潜龍舎」・哲学博士の「都立推薦小論文道場」・世界史専門塾「クロニクル」をプロデュース。グループ全体で圧倒的合格実績を誇る。27都道府県51団体の実力派塾長が参画する「名門公立高校受験道場」を主宰。

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