ギリシャの財政危機はEU破綻の序曲なのか--ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授

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 数十年にわたり欧州は過剰な楽観論と悲観論の間を揺れ動いてきた。ジャーナリストのマーカス・ウォーカーが指摘しているように、「リスボン条約の調印で、EUは世界という舞台で一人前になるはずだった。しかし、米国や中国などの新興国が支配する新しい地政学的な秩序の中で、欧州は敗者になってしまったように見える」。

ウォーカーによれば、欧州の将来のイメージは、昨年12月18日のコペンハーゲンでの会議に見られるという。この会議は米国と中国が開催し、インドとブラジル、南アフリカの指導者が招待され、気候変動に関するコペンハーゲン合意の取りまとめが行われた。だが、欧州の指導者は招かれなかったのである。

依然として大きい欧州の潜在力

欧州の将来はどうなるのだろうか。英『エコノミスト』誌はこう指摘する。「欧州の将来に関する悲観的な数字を耳にするかもしれないが、それには一定の根拠がある。1900年代に欧州は世界の人口の4分の1を占めていたが、2060年にはわずか6%となる見込みだ。しかも人口のほぼ3分の1を65歳以上の高齢者が占めることになる」。

欧州が深刻な人口上の問題に直面していることは事実だ。しかし、人口とパワーの間にはそれほど高い相関性があるわけではない。過去幾度となく欧州の没落が予想されてきたが、現実化することはなかった。80年代に専門家たちは“欧州硬化症”や“欧州病”について語っていた。だが、その後の数十年間に欧州はすばらしい成長と制度的な発展を遂げたのである。

パワーを共有し、合意を達成し、複数の委員会で対立を解決するというEUのやり方は、いらだたしく、ドラマ性に欠けるかもしれない。ただ、ネットワークで結ばれ、相互依存が高まっている世界において、多くの問題への対処法として適切なものになりつつある。

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