自由が丘も変わる「東横沿線」建設ラッシュのなぜ 大規模開発が少ないエリアに何が起きている?

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【自由が丘】駅前に60mのタワー

まずは長年にわたり、人気の街であり続けている自由が丘での大きなニュースは駅前の再開発である。すでに2019年12月には東京都が自由が丘駅前西及び北地区街並み再生方針を、それを受けて2020年8月には目黒区が地区計画を決定しており、自由が丘一丁目及び自由が丘二丁目各地の約3.1haが対象となっている。

そのうち、駅前広場の北側、東横線と並行する自由が丘1丁目29番地区では第一種市街地再開発事業に向けて2021年度内にも再開発組合の設立が認可される予定で、その後、2023年度に工事に着手、竣工予定は2025年度である。

自由が丘駅の開発想定地域(目黒区ホームページより)

目黒区のホームページに掲載されている完成予想図は1階に街に開いた賑わいの場となるスペースのあるビルとなっており、高さはこれまで40mだったところが緩和され、最高60mまで建てられることになっている。ざっくり20階建てが建つ計算で、現在の自由が丘駅周辺で最も高いのが9階建てであることを考えると、これまでにない高さの建物が建設されることになる。

当該地域は駅前にも関わらず、細街路が残り、歩行者のための空間や荷下ろしに使うスペースがないなどの問題を抱えており、再開発では道路の拡幅、広場の新設、歩道や荷下ろし場の整備なども予定されている。緑の少ない地域に配慮、できる限りの緑化も見込まれている。建物の内容についての詳細はまだ公開されていないが、主な用途は店舗、事務所、住宅、駐車場とのこと。

現在は、通り沿いは物販、少し入ったところに飲食店が密集している状況で、そのうちには地域に親しまれてきた老舗も多い。馴染んだ風景がなくなるのは残念だが、このところ、来街者の高齢化が目に付くようになっている自由が丘の起爆剤になるような建物を期待したいものである。

ところで、ひとつ気になったのは線路沿いに建つ「闇市由来の建物」である、自由が丘デパートだが、開発予定地には入っておらず、今後も今の形で存続するらしい。愛すべき空間ではあるが、空き空間が如実に目立つようになってきてもおり、早々にテコ入れを期待したい。

【自由が丘】100mほどの距離で2件のマンション建替え

自由が丘では駅から歩いて2分、3分と至近距離で、物件同士も100mほどしか離れていない場所でマンション建替えが始まっている。1棟は賃貸住宅、もう1棟は分譲マンションと用途は異なるが、従前の5階建て、3階建てがいずれも7階建てになる。後者は建て替えのため、それほどは期待できないが、前者の賃貸住宅の建替えではそれなりの数が供給されそうだが、価格はかなり高くなりそうだ。

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