なぜNo.1ビジネス書書店が絵本グッズを売るのか 有事を経た今こそ、新たな収益多様化をめざせ

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「YouTubeしかり、SNSしかり。今の売れる本の傾向を見ていても、コアなファン作りを地道に行っている著者が、知名度の高い著者よりもはるかに集客して結果を出すことを実感しています。

これからはマスに対してではなく、いかにニッチに地道にファンづくりを行うかが問われていると思います。その一環として、キャラクタービジネスは付加価値づくりの意味でも、大きなフロンティアになると思ったのです」

なぜ絵本に目をつけたのか

篠田さんが目をつけたのは、数あるジャンルの中でも絵本でした。日本のマンガやアニメの市場は大きいですが、絵本はまだまだ低い。低いけれど、ポテンシャルは高い。

丸善丸の内本店の篠田晃典店長(撮影:尾形文繁)

それは、ロングセラーになるほど強力なコンテンツなのに、キャラクタービジネスが戦略的に展開されていないからです。大手出版社によるマンガやアニメのように、ライセンスを使ったビッグビジネスが展開されていないことが多いのです。ゆくゆくはグローバル市場進出を念頭に置いても、絵本は最適でした。

長年愛されている絵本からSNSを通して一気に売れた絵本まで、幅広い本の中から、絵本のキャラクターやストーリーに関連したグッズをつくり、絵本とともに並べて販売すればファンづくりにもつながると思ったのです。

メインターゲットは、子どもではなく絵本に慣れ親しんでグッズに興味のある大人に設定したため、書店で最も売れているビジネス書市場の「ついで買い」なども期待できました。構想は数年前からあり、コロナ禍が実現を後押ししました。

絵本をモチーフにしたキャラクタービジネスを展開する場合、版権を所有する出版社に許諾を取り、場合によっては著者の絵本作家と交渉してデザイン画を描いてもらうなどして製品開発を行います。

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