10月後半、接種率の低さからロシア、東欧地域で感染状況が最悪になり、それが11月に入ってすぐ、まずはドイツやオーストリアに飛び火した。ドイツの11月3日のデータでは新規感染者数2万6453人、死者数184人で、「ワクチン未接種者のパンデミックが発生中」だと保険相がコメント。だがそこで止まることはなく、2週間後の11月17日には新規感染者6万人を超え、重症患者も激増。病院はパンク状態になり、感染状況が深刻な地域の患者たちを、国内の他都市や、イタリア・ミラノの病院に移送したというニュースまで飛び込んできた。「あのドイツからイタリアに?」というのが、私の正直な感想だったが、それだけ深刻な医療崩壊が起きているということだ。
そしてオーストリアでは11月22日の月曜日から、全国ロックダウンを決行すると発表。前週まではワクチン未接種者のみ対象とするロックダウンだったが、感染者の急増で全国民対象となった。そして2月からは、全国民にワクチン接種の義務化を導入するという。同様にイギリス、オランダ、フランスも感染者はどんどん増えている。一方のイタリアでは、学校が始まったら増えるだろう、寒くなったら増えるだろうという予想に反して、感染者数も犠牲者数も低めに抑えて頑張ってきた。だが少しずつ増えた感染者数が11月17日、1万人を超えてしまった。死者数も72人と3桁に近づいている。
イタリアが感染を低く抑えられた理由
イタリアが、EU諸国に比べて感染を低く抑えていられたのは、まずはワクチン接種を完了した人の割合が全国民の77%と高めなことがあげられる。特に感染した場合に重症化しやすい高齢者の接種率が高いことが効果を発揮しているという。50代は85.09%、60代は88.55%、70代以上は90%を超えている。(イタリアの経済新聞 Il sole 24 oreのデータベースより)
一方、オーストリアは国民の65%、ドイツは67%、イギリス67%、フランス69%と、ワクチン接種完了者の割合は低い。イタリアに長く暮らしている私から見ると、イタリアよりも経済が発達していて、日頃いろいろなことが立派に機能している国々が、第4波ではコテンパンにやられている、そんなふうにみえる。
「イタリア人って意外と、政府の言うことを黙って聞いてワクチンもどんどんするし、マスクをしている人も意外と多いよね」
イタリア人の友人にこう言うと、こんな答えが帰ってきた。
「だって、私たちはあれほど恐ろしい思いをしたのよ、言うことを聞いているというより、怖いから、マスクをはずせない。ワクチンへの不安だってないわけじゃないけど、目の前のコロナの恐怖のほうが大きいんじゃないかな」
2020年の3月、世界で初めて爆発的な感染が起こり、地獄のような日々を過ごしたイタリア人たちの偽らざる気持ちということだろうか。
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