第4波のイタリア「スーパーグリーンパス」の効力 「ワクチン未接種の人」は遊びには出歩けない

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たしかに、道を歩いていても、マスクをしている人が本当に多くて、私は毎日のように感心する。日本の人からしたら、このコロナ禍にマスクをしない人がいることは驚きかもしれないが、マスクの習慣がまったくなかった国の人たちが、外を歩くのにもマスクをしているのを見るにつけ、本当に世の中変わってしまったんだなあ、と思う。

もちろん夜の人気ゾーンなどを通りかかると、マスクなしでギュウギュウ詰めに座って飲んで騒いでいる人たちもいるし、ニュース映像ではスポーツ観戦やコンサートで、やっぱりマスクなし、ディスタンスなしで盛り上がる人たちの姿も見える。

ワクチン反対派の存在

そんな今のイタリアで、ワクチン反対派の存在が不気味に大きくなっている。毎週土曜日に各地で反対デモが行われていて、「グリーンパスがないと仕事に行けないというのは人権を犯している」という真っ当な訴えのもの、「専制政治だ」「ホロコーストと同じだ!」「陰謀だ!」と的外れなことを叫び人々を扇動する極右団体など、入り混じった状態だ。

グリーンパスに反対の署名に並ぶ人々。トリノ カステッロ広場にて(筆者撮影)

土曜日の午後という一番の稼ぎ時に、通りをデモ行進でふさがれ閉店を余儀なくされたミラノの商店協会が、大きな損害だと訴えを起こした。その翌日から、街の中心地ではデモ行進禁止、ということになったが、あまり効力を発揮していないようだ。

偽のグリーンパス保持者が逮捕され、その中には医者や判事、そして有名な俳優まで含まれていたというニュースに驚かされる。今日カーラジオから流れてきたニュースでは、ネットで売られている偽グリーンパスは、一枚250ユーロ、2枚なら450ユーロとお得ですよ、と宣伝しているという。安全だと思って出かけていても、実はそんな人たちが紛れ込んでいるということなのだ。

ワクチンをするか、しないかは個人の考え次第だが、増え続ける第4波の感染者、犠牲者の大半はワクチン接種をしていない人だという事実を、反対派はどう考えているのだろうか。39歳以下であれば6倍、40歳以上であれば4倍の危険があると、イタリア国立衛生研究所が発表している。「私たちの自由をとりあげるな!」と叫び歩く反対派の人たちは、ワクチンをした人たちの自由についてはどう考えているのだろう。

薬局のPCR検査の看板。大人は15ユーロ、12歳以上18歳以下の未成年は8ユーロ(筆者撮影)

「ワクチン未接種者だけのパンデミックだ」とオーストリアの保険相は言った。イタリアもスーパーグリーンパスだなんていって、国民を2種類に分断しようとしている。だが未接種の人たちがコロナに感染し、病院の機能が逼迫すれば、接種済みの国民ものんびりはしていられない。たとえば早期発見していれば助かるかもしれない癌患者が病院へ行けない、つまり手遅れになる、そんなことだってある。だからどうぞワクチンをしてください、しないのなら出歩かないでください、と、ある癌の研究者がテレビで訴えていた。まったくそのとおりだと思う。私の娘はアレルギーの検査をしようと、病院に電話をかけてもかけてもつながらず、やっとつながったかと思うと1年後と言われ途方に暮れていた。

ワクチン接種を完了して6カ月が経つと、保護効果が95%から82%に下がるという研究結果が発表された(Quotidiano net)。12カ月だったグリーンパスの有効期限が9カ月に、二度目の接種後6カ月が過ぎたら3回目といっていたのが5カ月後に縮まった。50代の私にも3回目のお呼びがそろそろかかる頃だろうか。

宮本 さやか ライター

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みやもと さやか / Sayaka Miyamoto

1996年より、イタリア・トリノ在住。イタリア人の夫と娘と暮らしつつ、ライター、コーディネーターとして日本にイタリアの食情報を発信する。一方、イタリア料理教室、日本料理教室、そしてイタリアの人々に正しい日本の食文化を知ってもらうためのフードイベントなども行っている。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」

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