自宅で最期「温かい亡くなり方」が実現しやすい訳 病院と同じような終末期治療も受けられる

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また、在宅療養をする際には、在宅医や訪問看護、介護職といった新たな人間関係が始まります。「その際は、終末期に携わる医師や看護師に、ご本人や家族のヒストリーを話してください。病気の話ではないところに、その人らしさが詰まっていて、専門職はこういった話を聞くことで病気だけではなく、その人らしさも支えます」

在宅医や訪問看護師に、今後起こりうる変化や緊急時の連絡先、どのようなときに連絡をすればいいのかを確認しておくのもポイントです。「在宅看取りを希望していたものの、病状の変化に家族が焦り、救急車を呼んでしまうことがあります。救急隊は命を救う責任があるので救命措置を行い、そうなると病院で最期を迎え、家族の後悔が残るのです。ですが、亡くなる前には呼吸の仕方や意識の深さが変わるなど、死期が迫った際の身体の変化を知っていると、慌てて救急車を呼ぶことなく対応することができます」

ACPに取り組むことで後悔を抑えられる

家族がどれだけ手厚くケアをしても、大切な人を亡くすと悲しみと後悔の念は心に残ります。ただし、後悔が大きすぎると遺族の苦しみは長引くことになり、そうならないためにも本人と話をして、医師や看護師とともに、納得しながら進めていくことが大切です。そこで実践したいのが、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」だと言います。

「ACPは自分のことを知ってほしい人と、そのときの不安や気がかり、心の支えなどを明らかにして過ごし方を一緒に考えていくプロセスで、1回限りではなく、繰り返し行っていくものです。ご本人が話したいタイミングで話したい相手と始めるものであり、誰かに強制されるものではありません。お孫さんと会う時間が大切なら、その時間に痛みが出ないようにするなど、大切にしたい過ごし方や価値観を共有しましょう」

ちなみに、残された時間と話ができる時間にはタイムラグがあるそうです。ドラマでは息を引き取る間際まで会話ができるシーンがありますが、現実的には亡くなる数日〜数週間前に話ができなくなります。

次ページ「大切なのは最期の瞬間よりも、話ができる時間」
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