自宅で最期「温かい亡くなり方」が実現しやすい訳 病院と同じような終末期治療も受けられる

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在宅を選ぶ時点ですでに症状は悪いことが多く、やまと診療所の場合、がん患者であれば初回受診から看取りまでの期間は平均で2カ月。がん以外の患者で1~2年。訪問のペースは2週間に1回が基本ですが、非がんで身体が元気なうちは月1回ということも。医療に加え生活環境のサポートを行います。一方、がん患者さんには痛みを取り除く緩和ケアを中心に行い、具合が悪化すると訪問頻度を週1回に増やします。

痛みを最小限に抑えながらみんなに囲まれて

「がんの症状はさまざまあり、痛みの治療だけではなく、食べることができないなら点滴、肺がんで息苦しいなら酸素など、症状に応じて治療の内容や訪問回数を調整します」

やまと診療所の診療から看取りまでの流れ(*図はおおまかな流れを示したもの。実際は患者さんの病状やご家族の要望を伺いながら、最適化した医療を提供します)(出所)『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期 』(世界文化社)
『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期 』(世界文化社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

看取りまで1週間ほどになると患者さんの意識は途切れ、食事もできなくなります。この段階ではご家族から見るとつらそうに見えても、意識のない患者さんはそれほどの苦痛がないこともあります。身体の変化に対する家族の不安を取り除くように努め、ご家族から連絡があればできるだけ主治医が駆けつけ、自然な形での最期を見守ります。

「私の経験的な感覚では、住み慣れない病院より、勝手知ったる自宅にいる方がせん妄は起きにくく、痛みを最小限に抑えながらみんなに囲まれ最期を迎える『温かい亡くなり方』が実現しやすくなります。そういった方が増える世界を目指しています(柳澤博医師)」

いまや、在宅だからといって痛みが取れない、治療ができないということはなく、病院と同じような終末期の治療を受けられるようになりました。かつ、やまと診療所のような人生の最期に寄り添った在宅医療があることで、自宅で亡くなることは当たり前になりつつあります。

(取材・執筆:大正谷成晴/ライター)

『在宅死のすすめ方』取材班

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『在宅死のすすめ方 完全版』(世界文化社)は以下の面々で取材・執筆・構成を担当した。

(取材・執筆)
福島安紀(ふくしま・あき)/医療ライター、横井かずえ(よこい・かずえ)/医療ライター、大成谷成晴(おしょうだに・しげはる)/編集・ライター、小川留奈/医療ライター

(構成)
田中留奈(たなか・るな)/「伝えるメディカル」代表

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