自宅で最期「温かい亡くなり方」が実現しやすい訳 病院と同じような終末期治療も受けられる

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「大切なのは、最期の瞬間よりも、話ができる時間です。一緒に過ごした時間を語り合いながら、『いろいろあったけどよい人生だった』『頑張ってきた』と思えることで気持ちが穏やかになっていきます。感謝の気持ちなど伝えたいことは話ができるときに伝え、会わせたい人には早めに会えるようにしましょう。終末期に眠れているということは苦しんでいないということなので、決して悪いことではありません。自然な経過として見守りましょう」

このように、知っておくと役立つ終末期の心構えは、たくさんあります。今のうちから学んでおきたいものです。

やまと診療所における在宅医療の取り組み

自宅で最期を迎えるにあたり、医療的なケアを提供するのが在宅医です。具体的には、どういったことをしているのでしょうか。ここでは、東京都板橋区を中心に在宅医療を展開する、やまと診療所の副院長で緩和ケアが専門の柳澤博医師にお聞きしました。

同診療所は2013年に前身となる、やまと在宅診療所高島平を開設以降、約5000人の患者を受け入れ、看取りまでを提供しています。最も受け入れが多いのはがん患者(43.7%)で、フレイル(10.5%)や認知症(8.9%)、脳卒中(6.5%)など、がん以外の患者の方も診ています(2021年9月1日現在)。

「在宅で終末期を過ごすということは、最期まで自分らしく『生きる』ことです。患者さんやご家族の世界観を尊重して、希望する医療を提供することを最優先で考えています」(柳澤医師、以下同)

現在は1200名の患者を診ていますが、訪問診療を希望される患者や家族からの直接の問い合わせや、病院内の退院相談支援室のMSWや看護師からの紹介が基本だと言います。

「問い合わせや紹介があると専門スタッフが伺い、在宅医療や医療保険・介護保険について説明し、患者さんの症状やお住まいのエリアなども確認。受け入れが決まると、必要に応じて関係するケアマネジャーや介護サービスへの連絡・調整も行い、訪問診療が始まります」

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