日本振興銀行事件--江上剛・社外取締役の社長選出は適正か?
木村剛・前会長、現職の社長など5名が逮捕
日本振興銀行の木村剛・前会長ら同行経営幹部が銀行法違反で逮捕された。正確に言うと、木村剛・前会長と現職の社長、執行役3名の合計5名が逮捕となった。
木村剛・前会長は典型的なワンマン独裁タイプの経営者として知られていた人物だ。メール削除など、金融庁による検査を妨害した行為については、今後の捜査を待たなければならないが、木村剛・前会長の指令によるものとみられている。
日本振興銀行は、別名「木村銀行」と言われていたとされている。これも木村剛・前会長の性格を抜きにしては語れないところである。
ここで考えなければならないのは、同行の経営幹部逮捕と同時に、というより即刻、江上剛・社外取締役(取締役会議長)が社長に選任されたことだ。メディアは、これを当然のように報道しているが、おかしいことではないか、と見る視点が必要と思われる。
04年から社外取締役を務めた人物に経営責任はないのか
現状では、事実上、適正と認定されているというわけなのだが、すこし本気で考えてみると、これはまた異常なトップ人事と言わざるをえない。
江上剛・新社長の人格・キャリアはもちろん申し分ないと思われる。だが、問題は、江上剛・新社長が04年から日本振興銀行の社外取締役をやっていることだ。
04年といえば、日本振興銀行の発足当初から社外取締役の就いてきたわけである。社外取締役とは、一応のところ、経営をチェックし、指導する立場にある。そうなると、下手をすると江上剛・新社長は、木村剛・前会長と同罪になりかねない。
昔流にいえば、筋が通らない。昔はそうした制度も法もなかったから、「筋」に依存したのである。現代において、厳しく法律的にいえば、「共同正犯」になりかねない。
そうまで言わないにしても、経営責任の一端はないのか。