拙著『食品の裏側』を通じて、私はずっと「添加物がいかに食卓に入り込み、日本人の舌を壊しているか」について訴えてきました。
添加物は毒性うんぬんの問題以上に、「日本の食文化を崩壊させる危険性」をはらんでいるのです。とくに私がずっと問題視しているのが、うま味のベースである「3点セット」です。
カップ麺にしろ、スナック菓子にしろ、冷凍食品にしろ、加工食品の「うま味のベース」はみな同じ。それが以下の3つです。
②うま味調味料(化学調味料)
③たんぱく加水分解物
このうち「①食塩」と「②うま味調味料(化学調味料)」は説明しなくてもおわかりでしょう。
「③たんぱく加水分解物」とは、肉や大豆などのたんぱく質を分解して作り出すアミノ酸のこと。多くは「塩酸」を使って分解します。
たんぱく加水分解物は正しくは添加物ではありませんが、これこそが日本人の好む「うま味の素」なのです。
この3点セットさえ入れれば味が決まり、みんなが「おいしい」と思うものが、いとも簡単に作れるのです。私はこれを味の「黄金トリオ」と呼んでいます。
「黄金トリオ」は加工食品の味のベース
たとえば冒頭で作った「とんこつラーメンスープ」なら、作り方はこんな感じです。
まず「①塩」を2グラムほど用意します。ここに「②うま味調味料」を加え、「③たんぱく加水分解物」を入れます。「黄金トリオ」です。これで「味のベース」が完成します。
そこに「風味」をつけるため、「ポークエキス」「チキンエキス」「野菜エキス」などの「エキス類」をまず加え、あとはホワイトペッパーなどの香辛料を入れ、サッパリとした後味にするために「酸味料」、トロッとしたとろみをつけるために「増粘多糖類」も投入し、ゴマや乾燥ネギを加えれば、おいしいスープの出来上がり。
これをしょうゆ味にしたければ「ポークエキス」の代わりに「粉末しょうゆ」、みそ味にしたければ「味噌粉末」に置き換えればいいだけです。
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