「本当かどうかはわかりませんが、僕たち内部進学者に憧れもあったみたいです。といっても僕は中学受験には失敗したので高校からなんですけどね」
ちなみにその大学は小学校からの内部進学者も存在する。健一さんによれば彼らこそ別格で特殊な雰囲気を漂わせているらしい。有力者の子弟が集まるエリート校の中にも外からは見えない格差があるのだ。
ただし、結婚式は四国の良家出身である加奈さんが主導した。母校がある東京とお互いが住む関西に加えて、地元の四国でも披露宴をやりたいと主張して実行。合計3回。政治家の結婚のようだ。
「結婚式については妻の『こうしたい』という気持ちが強くて、なかなか本腰を入れない僕に苛立っていたみたいです。その頃に妻が転職をしたこともあってストレスもたまっていたのだと思います。同居して1年ほどはケンカが多かったです」
結婚は自由が奪われる?
それから4年が経つ現在、基本的には健一さんのほうが加奈さんをサポートする生活が続いている。公務員として働いている加奈さんの病気は再発していないが、経過観察と精神面での支えも必要だからだ。
「朝食は僕が簡単な和食を作り、雨が降っていたら車で妻を職場まで送っていきます。時間があるときは帰りも迎えに行きますよ。掃除はそれぞれやっていますが、洗濯は全部僕がやっています」
結婚は自由が奪われる、と健一さんはまた率直な物言いをする。例えば、自宅のリビングでは好きなタバコを吸えなくなった。加奈さんの定期検診に毎回付き添っているが、そのときに主治医から副流煙の危険性を指摘されたからだ。
「酒を飲みながらタバコを吸えないのはちょっとつらかったです。今は仕事場だけで吸っています」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら