安河内:ある難関大学は780点でセンター満点です。点数的には妥当な線でしょうが、これだけ4技能化の動きが活発になっているところに2技能を持ってくるのには違和感があります。
また、ビジネスパーソン向けの内容のTOEICを高校生に課するのも明らかに試験に対する知識が不足しています。文科省には4技能試験協議会をいち早く設置してもらって、大学側に「高校生にとって適切な内容とレベルの4技能入試でなければならない」と訴えかけていく必要がある気がします。
おっと、気づけば有識者会議のノリで、入試の4技能化に話が終始してしまいそうです(笑)。でも4技能化が進めば、スピーキングテストもどんどん普及していきます。それに向かって小中高でも、松本先生が普及に力を入れていらっしゃるディベート教育を取り入れることも可能ですよね? 英語のディベートで日本人全体のスピーキング力をどう向上させるのか? まったく私にはわからないところなので、「こうあるべき!」という見解をぜひ聞かせてください。
松本:いや~、そんな大層なものは持ち合わせていないんですけれども……。
安河内:どんな小さなことでもかまいません。そもそも日本で英語のディベート経験がある人はごく少数ですよね。中、高の先生で授業にディベートを取り入れているケースとなると、モデルケースを除けばあまりないでしょう。ですが入試が4技能になりスピーキングが試されるようになると、ディベートの重要性も今まで以上に高まるはずです。私たち英語を教える教師がディベートをどう授業に取り入れていけばいいかも、ぜひ教えてほしいです。
松本:わかりました。
40年以上前の中学の英語授業なのにAll English!
安河内:まずは松本先生が英語のディベートにどうかかわっていくようになったかを最初からたどるためにも、先生と英語の出会いから伺わせてください。今のように英語に気軽に触れることができる時代ではなかったと思うのですが……。
松本:そのとおりです。私が子どもの頃、テープは、まだオープンリールの時代でしたらから。それとソノシートですね。中学になってようやくカセットテープが出始めたのです。
安河内:英語との初めての出会いは?
松本:中学校1年の4月です。
安河内:じゃあ、それまではローマ字もご存じなかった?
松本:いえ、ローマ字は小学校の国語の時間で習いました。でも、英語を習い始めたのは中1からです。This is Japan.というのが教科書に初めて出てきたセンテンスでしたね。
安河内:This is a pen.ではなく?
松本:いえ、教科書は「New Horizon」だったので、This is Japan.でした。
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