また、この会議以外にも、「デジタル田園都市構想」の会議など、複数の同種の会議が立ち上げられた。
岸田首相は、「人の話を聞く」がご本人売り物なので、話を聞く場をたさん作りたいのかもしれない。だが、ご本人にはっきりしたメッセージとその根本になる考えがないので(少なくとも明確な言葉で提示されていない)、「人の話に流される」のではないかとの不安がつきまとう。組織のリーダーとするにはまったく不向きなキャラクターだ。
「耳」だけが発達していて、その間にある臓器に栄養が回っていないのではないか、と皮肉を言いたくなる。
前任の菅義偉氏は、国民にはわざわざ「自助」を強調し、官僚には人事権を振りかざす「冷たい人」だったが、経済政策で何を考えているのかは明確だったので、岸田氏よりは「リーダーとしての安心感」があった。彼の説明不足のインターフェースの悪さは首相に不向きだったが、今の岸田首相を見ていると、菅さんが少しだけ懐かしく思える。
「バラマキ政策」の基本もわかっていない首相
岸田首相が、総裁選で当初掲げて後に引っ込めた金融所得課税の引き上げのように、一時は公明党案を丸のみして決着するかに見えた「18歳以下の子供に一人一律10万円」の給付金案も、「年収960万円の所得制限をつけて、5万円の支給プラス、後に5万円のクーポン」などと、ぐずぐずに変形された。
首相自身に、判断の基準となる考え方が確立されていないから、「耳」(=他人の話)に「脳」(=自分の考え)が負けて、方針がコロコロ変わる。危なくて頼ることのできないリーダーであることが、本件からもよくわかる。有力な取材先であり新聞の消費税も負けてくれる財務省に媚びを売りたいマスコミは、現金給付政策を「バラマキ(政策)」と批判的に書くが、「現金のバラマキ」自体は政策として悪くない。
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