中国で深刻化する労働争議、対処療法に終始してきた現地労務管理のツケ

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公開された給料データと自分の給料を見比べ、メールやインターネット上で井戸端会議が始まる。日系企業経営者の気づかないところで、日常的に個人が給料や職場環境などの情報を発信し続けているのだ。

待遇に不満を持った者が会社側に賃上げや労働環境改善要求の狼煙(のろし)をあげる。最初は数人でも、雲霞のごとく人が集まってくる。こうなればもう現場を沈静化させることは難しい。

トヨタ系やホンダ系の部品工場で起きたストライキも、こうして広がった。

この模様がネットを通じてリアルタイムの動画で瞬時に近隣の工場や他省へも伝わる。中国での賃上げや労働環境改善の要求は今に始まったことではないが、この数カ月間に起こった一連のストライキでは、その伝播力が脅威となった。

中国人の協力が100%必要

ストライキを多発させた背景のひとつは、2008年1月に施行された労働契約法だ。

この法律により、労働争議が発生した時に会社側は工会(労組)、もしくは従業員代表との協議の場を持つことを義務づけられた。それまでは、会社側がアメとムチを使って、水面下で労働者を押さえ込むこともできたが、今ではそのようなことはやりにくい。       

労働契約法の施行で労働争議をガラス張りで処理しなくてはならなくなった。労働者は有利な条件を獲得するために、ストライキなどの労働争議を引き起こして会社側を公開の場に引き出そうとする。

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