現在56歳以下の老後「3000万円超必要」の驚愕試算 1965年以降出生者9割が老後生活資金を賄えない

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本来、野党が追及すべきだったのは、「(標準世帯の場合に)老後生活費の約7割を年金が保障してくれるのですね」ということだったのだ。「2000万円必要とはけしからん」と追及するのでなく、「2000万円準備すれば、それで十分なのですね」と確認すればよかったのである。

「マクロ経済スライド」で年金が減る

以上で述べたことを言いかえれば、「老後生活における大きな不確実性は、年金額そのものにもある」ということだ。これについて、以下に説明しよう。

まず第1に、政府が約束している範囲でも、年金額が老後生活費の約7割にならない可能性がある。

これは、マクロ経済スライドという仕組みによる。

「マクロ経済スライド」とは、現役人口の減少や平均余命の延びに合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みだ。

毎年の切り下げ率は、公的年金の被保険者の減少率(およそ0.6%)と平均余命の延びを考慮した一定率(およそ0.3%)の合計である0.9%とされている。

「所得代替率5割が確保される」と言われると、すべての受給者の代替率が5割であるように受け止める人が多いだろう。しかし、財政検証でいう所得代替率とは、新規裁定される受給者についてのものである。

マクロ経済スライドが実行されれば、裁定後時間がたった受給者の代替率は、これより低くなる。毎年実行されれば、10年で約9%、20年で17%ほど減らされることになる。

ところで、実際には、マクロ経済スライドの発動に制約が加えられている。

すなわち、「適用すると年金名目額が減少してしまう場合には、調整は年金額の伸びがゼロになるまでにとどめる」という限定化がなされているのだ。

つまり、年金の名目額を引き下げることはない。だから、物価上昇率が0.9%以上にならなければ発動されない。

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