日本経済低迷は「平成の経営者が原因」と言える訳 松下幸之助がいまの時代に伝えたい事とは?
「日本的経営」は本当に行き詰まったのか
アメリカの社会学者、エズラ・ヴォ―ゲルが『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出版したのは1979年。ホンダの本田宗一郎、ソニーの盛田昭夫、井深大、そして松下電器(現・パナソニック)の松下幸之助。かつて、日本の経営者たちは世界で名をはせ、憧憬の的のような存在でした。アジア各国の経営者たちも競うように来日し、「日本的経営」を学んでいきました。
しかし、いま、日本経済の低迷は慢性化し、まさに陽が沈まんとしています。現在、日本企業は世界企業ランキング100社の中に2、3社ほどしかランクインしていません。一方、いまだ100年以上続いている日本企業の数は、全世界の企業の41.3%、さらに200年以上となると実に65.5%を占めています。このことひとつとっても、日本的経営は、世界の企業経営の中でも最も優れた経営のひとつだと言ってもいいでしょう。
そんな優れた日本的経営が、なにゆえに今日、積極的に評価されなくなったのか。
それは、平成以降の経営者たちが、みずからの「ダイヤモンド」をどぶ川に放り込み捨ててしまったからではないでしょうか。
ご存じのとおり、平成以降の経営者たちの多くは、主にアメリカに留学し、学びました。博士号やMBAの資格を取って帰国し、身につけたアメリカ的経営の知識、理論を、そのまま日本の企業経営に取り込んだのです。彼らにとって、アメリカで学んだ経営観、経営手法が最高で最先端です。知恵、仁愛の「日本的経営」は、田舎の経営観、経営手法ということになりました。
アメリカ的経営の経営観は、利益追求です。経営の中心はどこまでも「カネ」。「会社」は、経営者の資産増の手段です。「人間」は、そのための「手段」でしかありません。だから経営者は、会社が投資した額の数倍、数百、数千、数万倍にでもなれば、さっさとM&Aで売却します。100年企業、200年企業が圧倒的に日本企業よりも少ないのは、ここに因があると言っても過言ではないでしょう。
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