圧倒的に「食える」仕事なのに満足度が低い理由 データサイエンティストの「持ち腐れ」が多発中

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データサイエンティストを集めた全社横断的な組織を作る日本企業も増えてきた。ヤフーの「サイエンス統括本部」や、日立製作所の「Lumadaデータサイエンスラボ」などだ。ノウハウ、人材、技術を1つの部署に集約することで、データサイエンスを高度化しようという意識がうかがえる。

一方、企業として受け皿は用意したものの有名無実化している場合も多い。データを分析することだけを考えたり、現場の意識と離れたR&Dを繰り返すなど、組織として浮いてしまうこともある。ただデータサイエンスの組織を作っただけでは機能しない。企業側には、ミッションをはっきりとさせたデータサイエンスの組織づくりが求められる。

結局「基礎知識」は全社員に必要

「データサイエンスの民主化」という言葉をご存知だろうか。これからのビジネスを考える上で、データサイエンスは一部の人にだけ必要な能力ではなく、全社員がデータ活用に取り組むことができるようにすべきという考え方だ。博士号をもつ一人のデータサイエンティストだけが必要なわけではなく、多くの社員が基礎的なデータ分析ができるようになることを求めるものだ。

データサイエンスの民主化が進めば、データサイエンティストの採用ではなく、社内の人材育成・教育が重要になってくる。全社員がデータサイエンスの基礎知識を持つことができるように社内教育できる仕組みが必要になるのだ。

日本の場合、最終学歴の理系比率を見た場合に、欧米諸国と比べると低い水準にある。そのため、データサイエンスと聞くだけで、「私は文系なので」とか「数式は苦手なので」と毛嫌いする人が多い。このような人たちに、データサイエンスは特別なものではなく、データをもとに客観的に考えるという基本的な概念を浸透させることは至難の業だ。しかし、データサイエンスを社内に浸透させるためには避けて通れない道なのだ。

データサイエンスで企業を変えるためには、優秀な人材の確保と、社内リテラシーの底上げの2点が必要となる。底上げがなければ、優秀なデータサイエンティストを採用しても意味がないのだ。

塩崎 潤一 野村総合研究所 未来創発センター生活DX・データ研究室長

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Junichi Shiozaki

1967年生まれ。筑波大学社会工学類卒業。1990年、野村総合研究所入社。専門分野はマーケティング戦略、数理解析・数理モデル、生活者の価値観など。同社にてデータサイエンスを活用した新規事業の立ち上げに責任者として関与。主な著書に『変わりゆく日本人』、『第三の消費スタイル』など。2019年より(社)データサイエンティスト協会の理事も兼ねる。「NRIデータサイエンスラボ公式YouTubeチャンネル」で情報を発信中。

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