メジャーリーガーが「ゴロ狙い」やめた意外な理由 データサイエンティストが変えた「野球の常識」

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今季、大谷を抑えてホームラン王となったトロント・ブルージェイズのゲレーロJr.(写真:Cole Burston/Bloomberg)

「21世紀で最も魅力的な(セクシーな)職業」――。データサイエンティストがアメリカの有名経営学誌でこう紹介されてから9年。一部の企業には浸透したが、まだまだ知名度の低い職業だ。

一方、デジタル化の進展で、企業が取り扱えるデータは増加し続けている。「データは21世紀の石油」とも呼ばれ、企業にとっては利益を生む源泉ともなっている。今のところ、データの埋蔵量は無尽蔵で、それを扱えるデータサイエンティストだけが不足している状態だ。

今回はそんな圧倒的「売り手市場」のデータサイエンティストとはどんな仕事なのか、どんな力が必要なのか紹介しよう。

マイクロソフトは1990年代初頭から積極採用

マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツは「マイクロソフトが競争優位にたっているのは『ベイズ・テクノロジー』のおかげ」と語ったことがある。

ベイズ・テクノロジーとは、トーマス・ベイズが提唱した「ベイズの定理」という考え方をビジネスに応用するというものだ。特定の条件のもとで、ある事象が起こる確率(条件付き確率)を計算するという定理で、古くからある単純な定理だ。新しいデータを取り込みながら、推定や予測の精度を高めることができるため、ビッグデータ時代に適しており、迷惑メールの推定などで高い効果をあげている。

ビル・ゲイツは、この古くからある「ベイズの定理」の有用性に着目し、これを使いこなすことができるデータサイエンティストを1990年代初頭から積極的に採用した。その結果、マイクロソフト社はデータサイエンスで成功した代表的な企業となった。

このようにデータサイエンティストは、まずデジタル関連のデータを取得しやすいIT企業で活躍するようになった。経験や勘に基づいて判断するのではなく、データを多面的、客観的に取り扱うことができるデータサイエンティストが新しいビジネスを創出していった。

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