メジャーリーガーが「ゴロ狙い」やめた意外な理由 データサイエンティストが変えた「野球の常識」
アメリカのプロ野球であるメジャーリーグベースボール(MLB)では2017年頃から「フライボール革命」という現象が起こった。ここにもデータサイエンティストが深く関わっている。
従来、打者は“ボールを転がすべき”とされてきた。内野安打なども含め打者が出塁できる可能性が高くなり、チームの勝利に貢献できると考えられていたからだ。それに対して、ボールを打ち上げた方がホームランだけではなく安打になる可能性も高く、総合的にチームに貢献する割合が高まるとする考え方が「フライボール革命」だ。
この考え方が流行した背景には、2015年からMLBで全面導入された「スタットキャスト」という、グラウンド上の選手やボールの動きを分析するデータ解析ツールがある。
単純にゴロやフライといった結果だけではなく、打球の角度や初速度、打つ瞬間の画像などのデータを分析できるようになり、フライボールの価値が可視化され、「フライボール革命」は急速に広まったのだ。
つまり、新しいデータがとれるようになったこと、それらのデータを分析し、新しい概念を生み出すデータサインティストがいたことで“革命”につながったのだ。ビジネスの世界でも、データをもとに”ゲームチェンジ”できるデータサイエンティストが求められている。
2030年には「54万人」不足
しかし、冒頭で述べたように、データサイエンティストは慢性的に人手不足状態だ。
経済産業省がIT人材の需給状況について調査した結果がある。AI、ビッグデータ、IoTなどの新しいビジネスの担い手である「先端IT人材」に必要な人数を推計している。この中にはデータサイエンティストも含まれている。この調査では、先端IT人材は、2020年の12万人から、2030年には35万人に増加するが、実に54万人が不足すると予測している。
今後、データサイエンスは色々な場面で必要となっていくであろう。マーケティング、受発注、工場における製造工程、配送、従業員の管理、人事制度など、データがあるすべての業務でデータサイエンティストが求められる。このため、データサイエンティストの人数が増えても、それ以上にデータサイエンティストに対する需要が伸び、さらに人材不足が加速することが予測されているのだ。
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