「いま何歳?」より「あと何年?」で決まる幸福人生 「ライフシフト2」で考える「個人と企業の両得」
初めて出会ったフルタイムの仕事を、「自分の専門分野はこれだ」と無理に信じて続けていかなければならないのはちょっと違うのではないでしょうか。
若い人の意識は変わってきつつありますが、企業の仕組みのほうがその変化にまだ追いついていないように思います。
社会が変われば、「見える景色」も変わる
発想を変えてみると見えることは少なくありません。
本書でも触れられていますが、生まれてから何年経ったかという「暦年齢」で人生や物事を捉えると、年齢バイアスがかかってしまいます。「もう40歳だから無理」「もう50歳だから遅すぎる」などと固定観念に引きずられてしまうのです。
逆に、「自分はあと何年生きるか」という視点で見てみるとどうか。人生100年時代なら、30代の方はまだ70年は生きる可能性がある。40代でも、人生の折り返し地点にまださしかかる前。50代だって、この先20年働くことを見据えてキャリアチェンジしてもいい。これから先の生きる年数を考えたら、まだ相当に時間はあって、いろいろなことにチャレンジできることに気づくのではないでしょうか。
社会保障改革もそうですが、政府や企業、教育機関の変革について本書が半分のページを割いているのは、私たちの「見える景色」を変えるために必要だからだと私は受け取っています。
たとえば大学の入学年齢を不問にするという制度にしたら、還暦を過ぎていても行動力のある方がまず大学に入るでしょう。すべての大学とはいいませんが、ある大学は18~78歳までの学生がいて、平均年齢は42歳、ということになるかもしれません。
すると、今まで年齢を理由に躊躇していた人も「チャレンジしようかな」と思うようになりますよね。それは、大学の景色が今までと変わったからです。
企業だって、課長と呼ばれる人には25歳もいれば65歳もいる、そうした景色を目の当たりにしたら、もう年齢は関係ないと自然に思えます。目の前の景色が変わることのインパクトは非常に大きいのです。
1人ひとりの社会的開拓者としての実験と、政府や企業、教育機関の発想の転換が、いわば両輪となって社会的発明を促します。私たちは今、そのプロセスの中にあるのです。
この視点は、これからの人生を考えるうえで非常に重要なポイントだと思います。『ライフ・シフト2』はそれを明確に示してくれた本でした。
(構成:笹幸恵)
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