「いま何歳?」より「あと何年?」で決まる幸福人生 「ライフシフト2」で考える「個人と企業の両得」

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エールの創業は2013年です。この創業時の考え方が、今後20年の土台になると考えました。経営者も若いですから、彼らが選択する経営手法や経営方針は、これからの社会のスタンダードになっていくはずです。

私は70歳になっても現場で働きたいという野望があるので、そうした環境にどっぷり浸かって、この先20年通用する価値観を身につけたいと考えたのです。

最初からはっきりとそう思っていたわけではありません。「ほぼ日」を辞めて、ジョブレスだった期間に、さまざまな人と利害関係にとらわれない会話を交わすことができました。なんら仕事に関わらない1年半を過ごしていたら、さらにその先の世界まで見えてきた。発想が変わった。普段交わらない人と会話し、模索する中で、自分はどうしたいかが言語化できたんです。

ウェル・ビーイングに向けた日本社会の課題

『ライフ・シフト2』は、政府や企業、教育機関のあり方に多くのページを割いていますよね。前作『ライフ・シフト』は個人の生き方を根底から考え直すことが必要だと説いていて、本作では、そのための社会的な変革の必要性を訴えています。『ライフ・シフト2』こそ、社会的発明を実現させるために、本当に言いたかった「本論」ではないかと感じています。

日本の社会には、まだ課題が多く残っています。無意識のうちに性別で役割分担が決められますし、年齢バイアスも強い。社会保障制度にしても、段階的に年齢は上がってきているとはいえ、65歳以上は稼ぐ力がなくてヨボヨボしているという前提で作られています。

50年前はそうだったかもしれませんが、今は当てはまりません。今の制度は乱暴だなと思います。

2019年に結成された「明るい社会保障改革推進議員連盟」は、疾病予防や健康増進に社会保障費を使おうという発想で政策を議論しています。制度設計は個人ではできませんから、まさに政治家が議論し、国として発想を変えていかなくてはならないことです。

心身ともに、また社会的にも健やかに生きる「well-being」を実現させるために財源を振り向けるのは、とてもよい方向性だと思います。

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