「いま何歳?」より「あと何年?」で決まる幸福人生 「ライフシフト2」で考える「個人と企業の両得」

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企業も同じ。55歳で定年、65歳で寿命を迎えるという社会で完成された制度を、今でも「制度ありき」で何とか延命させているのが現状です。いよいよ人生100年時代にさしかかって、もうさすがに無理、さあどうしよう、という状況に直面しているのではないでしょうか。

アメリカでは、私が留学していた時点ですでに、履歴書には年齢性別はもちろん、人種が推し量れる顔写真も掲載が禁じられていました。私たちが無意識のうちに持っているバイアスをとにかく排除する制度設計を行っていたんです。

これが日本の課題解決に直接つながるかどうかはわかりませんが、まずは私たち自身がバイアスを持っていることを自覚し、それが企業の適材適所を妨げているかもしれないという認識が必要でしょう。

日本の企業はまだ年齢バイアスに基づいた年功序列が残っています。ちょうど私の年代であるバブル期世代は「働いていないのに給料が高すぎる」といわれ、いかに痛みを少なくして辞めてもらうかにすごい労力を使っている企業もある。

しかし、エイジレスな組織としてのビジョンがないまま、いきなり早期退職者の募集をするのは、対症療法的でトカゲのしっぽ切りにしかならないかなとも思います。エイジレスな組織としてどうありたいのか。『ライフ・シフト2』は、日本が年齢を問わない社会に転換する大きなきっかけとなるのではないでしょうか。

企業のパーパスが大きく変わった

今、事業環境は大きく変わっています。企業もそれにあわせて中期経営計画を5年ごとから3年ごとへ、さらには毎年見直す企業もありますが、現状、社員がその変化に追いつけていない。私たちの会社では、社外人材による1on1面談を通じて社員1人ひとりがその変化を自分ごと化して、自分のゆくべき道を自律的に見つけられるように、サービスを提供しています。

まさにこうしたことも、私は本書で言う「社会的開拓者」を増やして「社会的発明」を推し進める一石になるのではないかと思っています。大変な試みではありますが、いま、日本の社会は、そうした個人と企業の間を丁寧につないでいく過渡期にさしかかっているのではないでしょうか。

10年ほど前まで、株主至上主義が企業のパーパスとしてうたわれていました。平たく言えば、そこで働く人材への還元よりも、利益を上げて株主に配当すべきだ、という主張が強い影響力を持っていた。いわば従業員と株主が対立構造にあったのです。

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