「いま何歳?」より「あと何年?」で決まる幸福人生 「ライフシフト2」で考える「個人と企業の両得」

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ところが今は、これとはまったく逆の動きが生じています。人的資本という概念が投資家の間に広まり、企業価値を決める大事な要素の1つとして見られるようになりました。

今年6月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」でも、多様性の確保に向けた人材育成の方針や社内環境の整備を企業に求めています。

つまり上場会社は、人的資本をどう捉えていて、どのように価値を高めていくかを説明しなければならないということです。従業員の働きやすい環境を整えて創造性を高められるようにしていくことは、従業員個人の幸せだけでなく、企業価値として株主の利益につながる時代になりました。

人の主観的な充実感、幸せである「well-being」が企業の株主価値を高める。個人の所得を増やし、GDPも増大する。こうした考え方が政府の「骨太の方針」でも明文化され、大きな社会的な枠組みとして反映される方向に向かいつつあります。

まさに無形資産こそが、企業価値を決めるんだと。これは『ライフ・シフト』で2016年からずっと言ってきたことであったわけですが、ではこれを、現在のコロナによる劇的な環境変化のなか、いま企業経営に対してどうするんだと具体的に迫ってきたのが、今回の『ライフ・シフト2』なんだと思います。

初めに就職した会社にずっといる、でいいのか

今はまだ、新卒で就職した会社を定年まで勤めあげることがよいことだ、という建前がまかり通っています。

ですが、私は、若いうちに所属している組織を変えるというのは、マイナスよりも大きなプラスになると私は思っています。

最初に入った会社で働き続けるというのは、恋愛にたとえたら、初恋の、最初に付き合った人と結婚して一生添い遂げるようなものではないでしょうか。

もちろん本人同士が幸せならそれはすばらしいことですし、10年経ったら必ず離婚しろなどと言いたいのではありません。でも多くの人は、初めて付き合った人と絶対に結婚しなければならないといわれたら、怖くて付き合えませんよね。

何人かとのお付き合いを経て、時に片思いをしたりしながら、自分に合う人を見つけていく。仕事も一緒で、何が自分に合うかを模索していく期間が必要です。事業環境自体も、時間の経過とともに変化していきますし。

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