実は続出「マンション管理会社が突然撤退」の怖さ 管理組合と「立場逆転」、大きな転換期に

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変調はほかにもある。マンションに襲いかかる「2つの老い」だ。

まず、マンションの老朽化が進行し、1回目の大規模修繕工事のメドとされてきた築12年を経過したマンションが全体の8割に達している。同時に、管理組合の理事の引き受け手も高齢化しており、「理事長の後継者がいない」と悩む管理組合が増えた。

さらに、新型コロナウイルスの影響で、新たなトラブルが多発している。

「風鈴がうるさくて仕事に集中できない」「掃除機の音がうるさい」「ドライヤーの音が気になる」

騒音は昔からの典型的なトラブルだが、住民の自宅滞在時間が増えたことで神経質な反応がみられるようになった。

タバコの煙を巡るトラブルや、共用部分の置き配問題などが深刻化しているマンションも少なくない。

上がり続ける管理費や修繕積立金

管理費や修繕積立金も上がり続けている。賃金の上昇や資材価格の高騰が背景にある。東京カンテイの調査によると、2020年の首都圏マンションの管理費、修繕積立金はともに、6年前に比べて約20%も上昇している。

急激な環境の変化に、国や業界団体も対策を打ち出す。国土交通省は今年6月に「マンション標準規約」を改正し、WEB総会や置き配の留意事項を明確にした。

国交省は来年4月にも「管理計画認定制度」を実施し、長期修繕計画の作成など管理組合の運営状況について適否を判断する。マンション管理業協会も来年4月に、管理組合の運営状況を点数化する新制度を実施する。

こういった新制度への準備を急ぐ管理組合は多いが、新制度の乱立に戸惑いを見せる関係者もいる。

マンション管理のあり方が大きく変わろうとしている。この「転換期」にどう対応するべきか。マンション住民や管理組合、そして管理会社など関係者は柔軟な姿勢で対応することが求められる。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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