パワハラの境界線、今さら聞けない基本中の基本 職場のハラスメント防止で求められる労務管理
安田:パワハラが起きないように、会社としてできることって何ですか?
かなえ先生:職場のパワーハラスメント防止のための対策が会社の義務になったの。中小会社は、令和4年3月31日までの間は、努力義務ね。
安田:それって具体的に何をすればいいんですか?
かなえ先生:職場のパワハラを防止するために、次の雇用管理上の措置を必ずしないといけないの。①②③⑨⑩は、従業員への周知と啓発も必要よ。
① 会社の方針の明確化
② 就業規則等の規定を整備
③ 相談窓⼝をあらかじめ設置
④ 相談窓⼝担当者による、内容や状況に応じた適切な対応を行う体制の整備
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認
⑥ 被害者に対する配慮のための措置
⑦ ⾏為者に対する措置
⑧ 再発防止に向けた措置
⑨ 相談者・⾏為者等のプライバシー保護に必要な措置
⑩ 会社に相談したこと、事実関係の確認に協⼒したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を規定の整備
安田:なるほど、一つ一つ確認して、対応できていない項目には、社内で相談しながら取り組むようにします。
セクハラとマタハラについても防止対策強化
かなえ先生:職場におけるセクシュアルハラスメントや妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントについても、防止対策が強化されているの。
安田:セクハラやマタハラのことですね。定義を再確認しておきたいです。
かなえ先生:はい。定義は下記のとおりよ。その中でも、マタハラには、育児休業のなどの「制度等の利用への嫌がらせ型」、妊娠したことなどの「状態への嫌がらせ型」に分かれるわ。
◆セクシュアルハラスメントの定義
職場において従業員の意に反する性的な言動が行われ、「それを拒否したことで従業員が解雇、降格、減給などの労働条件の不利益を受ける」ことや、「職場環境が不快なものとなったため、従業員が働くうえで見過ごすことが出来ない程度の支障が生じる」こと
◆妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントの定義
職場において上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠、出産した女性従業員や、育児休業等を申出・取得した男女従業員の働く環境が害されること
安田:主な改正内容も把握しておきないな。
かなえ先生:次の3つね。②については、セクハラのみの改正内容よ。
② 雇用する従業員が他社の従業員にセクハラを行い、他社が実施する事実確認等への協力を求められた場合、会社はこれに応じるよう努めること
③ セクハラ等の調停制度の出頭・意見聴取の対象者が職場の同僚等まで拡大
安田:まずは、ハラスメントを予防する必要がありますよね。それでも、もし発生してしまったときに解決につなげる効果的な取り組みってありますか?
かなえ先生:そうですね。予防するためには、トップからのメッセージの発信や、ルールを決めたり、実態を把握して、研修などで周知や教育したりすることなども有効ね。解決するためには、会社内部だけではなく、外部に相談窓口を設置したり、再発防止の研修などの機会を設けたりすることも効果的よ。
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