パワハラの境界線、今さら聞けない基本中の基本 職場のハラスメント防止で求められる労務管理
1. 何をしたらパワハラになるんですか?職場におけるパワハラの定義や範囲って?
2. 法改正によって、会社にパワハラの防止対策が義務化!何をすればいいの?
3. セクハラとマタハラ等に関するハラスメントについても防止対策強化
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安田美咲(以下、安田):山本さんから、上司によるパワハラの相談がありました。パワハラの定義や範囲がよくわからなくて、何から対応していいのか迷っています。
漆原香奈恵(以下、かなえ先生):職場のパワーハラスメントは、職場において行われる、次の①から③までの3つの要素を全て満たすものをいうの。
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 従業員の就業環境が害されるもの
安田:この3つを満たすとパワハラと認められるのですね。詳しく実態を把握する必要もありそうですね。
業務上必要かつ相当な範囲なら該当しない
かなえ先生:そうね。ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しないから判断がむずかしいわね。詳しく見ていきましょう。
安田:「①優越的な関係を背景とした言動」って、具体的にはどんな言動のことですか?
かなえ先生:職場の上司による言動や、同僚や部下による、次のような状況での言動ということ。
② 集団による行為であって、抵抗や拒絶することが困難な場合
安田:抵抗や拒絶することができない関係を背景に行われる言動ということですね。
かなえ先生:そう。通常のオフィスなどの職場だけではなく、出張先や移動中の車内、実質的な業務の延長である飲み会なども該当するから気をつけて。
安田:「②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」って、具体的にどんなことですか?
かなえ先生:主に次の6つの要素を総合的に判断するのよ。
② 言動が行われた経緯や状況
③ 業種・業態・業務の内容や性質
④ 言動の態様、頻度、継続性
⑤ 従業員の属性や心身の状況
⑥ 行為者との関係性 など
安田:なるほど。一般的に考えて、業務上の必要性が明らかにない言動や態度かどうかということですね。
かなえ先生:従業員の行動が問題となるような場合は、その内容や程度と、それに対する指導の態様などの相対的な関係性が重要な要素となるの。
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