最もまともな「バラマキ」を掲げる政党はどこか 「バラマキ政策」は必ずしも悪いとは言えない

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ベーシックインカム推進論者から見て圧倒的な第1位は、日本維新の会の「年金保険料無料化」だ。あくまで大枠の意味ではあるが、国民年金や厚生年金の一部の国民年金相当部分として含まれる基礎年金の費用負担(現在は2分の1負担)を全額国庫負担(≒税金負担)とするということを意味しているのだろうと解釈する。それならば、すばらしい。

維新案は「安心継続」+「シンプル」=「効果も大」 

基礎年金(国民年金を含む)は、原則として、所得や資産の多寡にかかわらず、現役世代は誰でも一定額(現在、毎月1万6610円)を徴収される。いわゆる「逆進性」に関しては、消費税(これも悪いのだが)の比ではない悪税(名前は保険料だが)だ。「一時だけ10万円」といった給付では、将来お金がなくなることに心配を持つ人は貯金に傾斜するだろう。それが、2020年に起こったことだ。

一方、とくに低所得層では「毎月」使うことができる手取り収入が継続的に1万数千円(当人の所得税などの事情による)増えることの効果は、本人の安心の面でも、当面の消費意欲の面でも大きいはずだ。しかも、細かな制度設計などをせずに、すぐに実現できて、かつ効果が大きい。低所得の人も多い現役世代を応援するにあたって、当面実現可能な最善のバラマキだろう。財源は、所得税の累進強化や資産への課税で富裕層から重く取り立てるのがいい。ただし、増税は「今」行ってはいけない。

ついでに言うと、サラリーマンの妻(第3号被保険者)が保険料を納めなくても保険料を納めたのと同等の年金給付を受けることができる現行制度は、専業主婦を経済的に優遇する「女性の(仕事上の)活躍への逆行性」を持っているが、基礎年金の無料化(=全額税負担)は、こうした歪みを解消する効果を持っている。加えて、日本年金機構の業務が大いに効率化される。

次に、ベーシックインカム的という意味では「○○万円現金を給付する」という政策は、給付金が一律であることと、お金の使いみちに政府が介入しないことについて「ベーシックインカム的」なのだが、一時だけの給付では受益者の安心につながりにくいし、再分配の仕組みとしての持続性が乏しい。こうした一時的な給付金を選挙公約にすると、有権者が「選挙のたびに給付金をねだる」ように悪く習慣づけされるリスクがある。

一方、消費税率の引き下げ(や廃止)には、消費税の徴収を減らすことによる財政赤字供給拡大効果(現状では好ましい効果だ)と消費税の逆進性(低所得者のほうが所得に占める消費の割合が大きいから)を縮小する効果がある。

消費税率の引き下げ案はすべて野党側からだ。各党の提案には、「条件付きで有期の5%への引き下げ」「無期限の5%への引き下げ」「消費税廃止」といった温度差があるが、一応、消費税率を引き下げるという点で「政策の一致」を作ったのだろう。

税率引き下げを「期限付き」とした場合、税率変更の時期に対応した、消費者の買い控えや、集中的な買い物などの消費の歪みを誘発する可能性があるし、「多く消費するお金持ちは、多く消費税を払っている人」なのだから、マクロ経済的なプラス効果があるとしても、富の再分配の改善効果はたぶんそれほど大きくない。

それにしても、「数十兆円規模」とだけ言って、具体的な政策を提示しない自民党は心配だ。岸田文雄首相はたぶん、政策の中身がないままに、首相の座を射止めてしまったのだろう。自民党案に関しては、具体的なバラマキ案がないので赤ペンで添削・減点する手間はないが、白紙の答案が最低点であることは論を待たない。

(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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