さて、矢野氏の指摘は、時期的に先に行われた自由民主党の総裁選を意識したものだろうが、その後に衆議院が解散されて、選挙戦が始まってみると、「バラマキ合戦」はさらにヒートアップしている。
「バラマキ」として評価できる政策とは?
今回、筆者が「バラマキ」として評価する政策は、現金の給付や、減税ないし社会保険料の削減のように、広い範囲の国民の手元の現金残高を増やすような政策だ。今回の各党の「公約」(本当に約束しているのかどうかは不明だが、慣例に従って呼ぶ)には「バラマキ政策」の採用が実に多い。
各党の「バラマキ型公約」を駆け足で大枠をまとめると、以下のとおりだ。
与党では、自民党は「数十兆円の対策」とだけ言っていて、何に使うのかを提示せず、公明党は「高校3年生までの子供に10万円の給付を行う」と言っている。
一方、野党側に目を転じると、立憲民主党は「1000万円以下の所得の人への所得税免除と、低所得者への12万円給付」をうたい、加えて消費税率の時限的な5%への引き下げを提起する。共産党は「減収になった人への10万円の給付と、消費税率の5%への引き下げ」を言う。
また、国民民主党は「一律10万円の給付と、低所得者には追加で10万円の現金給付、それに加えて、経済回復まで消費税率を5%にする」と言う。社民党は「3年間消費税ゼロと10万円の特別給付金」。れいわ新選組は「消費税廃止と毎月1人20万円給付」だ。
さらに、一応は野党なのだが、左派的な野党と一線を画する日本維新の会は「消費税率の2年間5%への引き下げと、年金保険料(基礎年金部分のことだろう)をゼロにする政策」を提案する。独自の道をいくN党は、10万円以上相当の期限付き電子マネーの給付を提示した。確かに「合戦」といえるほどのバラマキ型政策の乱発ぶりだ。
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