「夜飲み全面解除」でもビール会社が喜べないワケ 2021年10月の出荷量は2020年比で減少を見込む

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一方で、これまでビールの売り上げを支えてきた飲食店への営業のあり方が、見直されるのは時間の問題だろう。「飲食店はブランド認知のためにも、なくてはならない存在。コロナ後に向けて関係性は保ちたい」と各社口をそろえる。だが、コロナ禍の約1年半では、飲食店を通じることなく新ブランドの認知を進めてきた。

そもそも国内の業務用は、販促費がかさみ収益性の低い分野だった。大手ビールメーカーの関係者からは、「飲食店の数が多すぎ」「ここまで飲食店が増えたのはメーカーが飲食店に多額の協賛金を出してきたからだ」との本音も漏れる。

すでにアサヒやサントリーは見直し

ビールメーカーは、飲食店で自社製品を採用してもらうために、協賛金という名目で、冷蔵庫やジョッキグラスなど様々な物資を飲食店に提供してきた。だが、こうした協賛金は、販促費の増加にもつながる。アサヒやサントリーなどは飲食店に対し一律で払ってきた協賛金を、販売量に応じる形に見直している。

東京商工リサーチが10月1~11日に全国約8000社を対象に行ったアンケートによると、緊急事態宣言等に関係なく忘年会、新年会を「開催しない」と回答した企業は7割に達した。コロナ禍を機に消費者の飲み方は確実に変化している。ビールメーカーは飲食店との付き合い方を再考せざるをえない。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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