一体このジェットコースター相場はどうなるのか カギを握っているのはやっぱり海外投資家だ
その後、日経平均株価は10月6日に2万7293円(ザラバ)で底を打ち、モタモタしていたが、11日から切り返し始めた。岸田首相が10月10日のテレビ番組で金融所得課税について「当面は触ることは考えていない」と発言したことがきっかけだ。9月29日の自民党総裁選では見直しを公約に盛り込み、税率引き上げに前向きな発言をしていたからだ。
格差是正を実現するための財源論がいったん後退するのは気がかりだが、岸田首相が「貯蓄から投資」に逆行する政策として株価下落の要因になっていると指摘する声に耳を貸し、市場に配慮した柔軟さをマーケットは素直に評価したといえる。引き続き海外投資家の反応に注目したい。
最大の焦点は31日の衆議院選挙投開票
岸田首相は衆議院選挙投開票に向け、懸命のようだ。まず人事でバランスを取り、最短のスケジュールで月末の衆議院選挙に挑んでいる。
自民党の衆議院(定員465議席)での現有議席は276議席である。10月の調査によると岸田首相では239~257議席(サンデー毎日257、週刊文春244、週刊ポスト239)と自民党だけで過半数を維持、連立与党の公明党の29議席を加味すると、安定した国会運営が可能な「絶対安定多数」の261議席以上との報道も出た。だが最新の世論調査では「自民党だけで単独過半数に届くかどうか」との報道もあり、予断を許さない。
21日の株式市場は「自民党の票が思ったほど伸びないのではないか」との選挙報道や、政府の日本郵政株に伴う投資家の資金作りによる換金売りの思惑などから日経平均が再び下落、予断を許さない状況になっている。
今後の株価については、やはり衆議院選挙の結果次第によるところが大きい。海外投資家が買いに積極的になるのは自民党が現有議席まで近づくことだ。その場合は、今後の経済対策の中身(海外投資家は改革と成長を重視)も見すえて、上昇も期待できそうだ。逆に、仮に単独過半数などを下回るようだと、海外投資家は売ってくる可能性も覚悟したほうがいいかもしれない。
今回は、重要イベントである国内政治に絞ってコメントしたが、もちろん海外要因にも引き続き注目だ。中国の恒大集団など不動産問題の行方に加え、原油価格の急上昇やアメリカの長期金利上昇、円安(自動車関連など一部の輸出産業にはプラス)なども気になる。
とくに、このあと11月2~3日に控えるFOMC(連邦公開市場委員会)で11月中旬ないしは12月中旬にテーパリング(資産買い入れ縮小)が開始となった場合、その後に世界の株式市場や債券市場などにどのような変化が起こるか、しっかりチェックしたい。株式などのリスク資産にかなりシフトしている投資家なら、キャッシュ比率を高めるなど、ポートフォリオをしっかり保全するタイミングに近づいているかもしれない。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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