一体このジェットコースター相場はどうなるのか カギを握っているのはやっぱり海外投資家だ
ちなみに、2020年の「投資主体別売買代金シェア」は、海外投資家60.4%、個人19.8%、証券自己12.8%、法人6.3%、その他0.7%となっている。日本株式市場なのに、海外投資家が6割の売買シェアを占めているのだ。
なぜ8月20日を底にいったん株は上昇し始めたのか。それは海外投資家が政治の変化を期待したことによるものだ。この時点で海外投資家は、新型コロナウイルスの感染拡大で支持率が低下していた菅義偉首相がもし自民党総裁選挙に出馬しても他候補に敗れ、「新しい選挙の顔」によって自民党の支持率が回復、11月までに行われる衆議院選挙で与党が過半数を維持することが見えてきたと確信したようだ。
一時、株価が上昇に転じた8月23日のターニングポイントに何が起きたのか。同月22日の横浜市長選挙で菅首相が支援した小此木八郎元国家公安委員長が無所属新人で立憲民主党が推薦した山中竹春氏(元横浜市立大学医学部教授)に敗れたことがすべてだ。その後はドラマのような展開だった。菅首相は党総裁選へ再選を目指して出馬する意向を改めて示したが、9月3日には新型コロナ感染者急拡大による支持率低下のなか、伝家の宝刀である解散を封じ込められ、事実上の退陣表明を余儀なくされた。
海外投資家は、こうした政治の変化を日本株市場にとってポジティブをとらえ、さらに買い越しを続けた。一時は国民や自民党員・党友から人気がある河野太郎行政改革担当相と岸田文雄前政調会長(いずれも当時)との一騎打ちにより、さらに自民党の支持率アップにつながるとみたようだ。9月29日の自民党総裁選で改革派のイメージの強い河野氏が自民党員・党友からの票を多く集め、1回目の投票で勝つことを期待。株の買い越しを続けたのだ。
その後は失望、一気に株を売った海外投資家
その後、9月14日が当面の高値となったのは、岸田氏、河野氏の一騎打ちで河野氏が勝つというシナリオが崩れ、海外投資家が株式を売却したためだ。その後、人気の高い石破茂元幹事長も総裁選への不出馬を表明。「改革を志す勢力が二分することなく一致すべきだ」と河野氏を支持する意向も示したが、海外投資家の河野氏期待も事実上、ここまでだった。
9月29日の自民党総裁選では、岸田氏が下馬評を覆して1回目の投票で河野氏を上回った。決選投票では事前予想どおり岸田氏の圧勝となり、結局、株価も下げ止まる気配はなかった。10月4日、臨時国会が召集され、岸田総裁を第100代首相に選出、「新しい資本主義」をめざす岸田内閣が発足した。
結局、海外投資家からみると「改革路線の河野氏は株高」「改革色の薄い岸田氏は株安」の方程式は変わっていなかったのだ。これまでのアノマリーなら「選挙は株高」のはずだが、9月14日以降、海外投資家にとって悪い結果が見えてきたので、先にピークをつけてしまった、と言える。
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