1000円超の「高級海苔弁」驚きに満ちた味の秘密 系列「スープストックトーキョー」との共通点

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スープストックトーキョーは1999年、「女性が一人で食事できる場所」の実現を求めてスタート。さらに化学調味料・保存料に頼らないというこだわりや、週替わりのバラエティーに富んだメニューなどが女性の支持を受け、着実な運営を継続させてきた。

スープストックトーキョー東急プラザ銀座店。コロナで店舗利用の割合は低下したものの、2004年から取り組んでいる冷凍食品通販や店頭販売が伸びたおかげで、売り上げへの影響が緩和されているそうだ(撮影:梅谷秀司)

同社社長の松尾真継氏は、運営方針について次のように説明する。

「出店の話は多くいただいてきたが、人材育成を大切にしながらお客様に愛されるブランドに育てたかったので、無理な拡大を目指すことはありませんでした。長く続くためには、変えるところと変えないところをきちんと切り分けることが大事。当社で言えば、添加物に頼らず手間暇をかけてスープを料理する、煽情的なCMや値下げで集客しないなどのスタンスは創業以来変えていません。一方で、スープをご自宅で楽しんでいただくために冷凍や通販を取り入れるなど、時代に合わせて便利さも追求していく。このようにして、共感されるブランドであり続けることが大切だと考えています」(松尾氏)

コロナ禍で有利に働いた調理方式

通販や冷凍食品に早くから取り組んでいたのは、同社のスープに保存料などを使わないという特徴があるため。主に静岡の提携工場でベースを製造し、冷凍にして各店舗に届け、調理する方式をとってきた。こうした技術的な基盤があったため、冷凍食品として早く展開することができたのだ。ブランド力を維持するため、販売チャネルは高級スーパーや百貨店に限った。また客の評価を受けて直営の物販専門店をスタートさせ、現在10店舗を展開している。

定番の「オマール海老のビスク」(手前)と、10月の期間限定商品「梨のラッサム」。スープ2種類とご飯(またはパン)のセット1012円の人気が高いという(撮影:梅谷秀司)

これらのことがこのコロナの状況では有利に働いた。もともと店舗利用の割合が高く、それ以外の通販・冷凍の売り上げが2割程度だったところが、2020年は売り上げ全体の4割超えへとアップし、店舗利用の落ち込みを下支えしたという。

1品500円程度と、ふだんの食事で毎日とるには高価格だが、“自分へのごほうび”や、贈答用途の割合が高いそうだ。お見舞いの品や、もともと女性からの評価が高いことから、出産祝いとしても人気があるという。

このように基軸となるサービスを活用しながら、新しい分野を開拓し続けられることが同社の強みのようだ。

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