産業リサーチ(インターネット・サービス) ヤフーと楽天が際立つ存在感
インターネットビジネスは、大まかにいって2つに分けることができる。
まず、PCからインターネットの世界へつなぐ役目を果たすサービスである。光ファイバーはさておき、現在の主流はまだ電話回線を利用して「つなぐ」方法であり、この役割を担っているのがプロバイダと呼ばれる企業だ。それらの多くは大手企業の傘下にある。
このプロバイダ業はもともと、薄利であることから各社はコンテンツ制作等で積極的に協力を模索している。生き残りをかけた大型統合は、システム移行の問題もあって、簡単ではないが、実現は時間の問題だろう。
最近急拡大しているADSLも、プロバイダとしての仕組みは変わらない。ただヤフーBBは、インフラ構築とプロバイダを一社で垂直統合する形をとっている点で特徴的である。
もう1つのサービスの形態は、インターネットのサイトそのもので収益をあげようというビジネスである。多くの日本人になじみのある、ヤフージャパンが好例であろう。ヤフーは当初情報検索ページとしてスタートしたが、その後はショッピングやオークションなどのサービスを拡大し、メガサイトとして君臨するに至った。
情報検索でヤフーはグーグル社と提携している。グーグルは最強の検索ページとしての地位を固めてており、シリコンバレーきっての優良企業である。
ヤフーの対抗軸としては、楽天グループが挙げられる。ヤフーが情報検索を核にスタートしたのに対し、楽天は楽天市場というショッピングモールを柱として、上場で得た豊富な資金を用いて、積極的な買収を仕掛けてきた。情報検索大手のインフォシーク、ライコス(今秋にも経営統合)は共に楽天が買収により収得した企業である。
日本では、この2社が勝ち組と呼ばれている。事業が黒字化しているからだ。初期投資こそ軽いものの、インターネットビジネスでの黒字化はとても難しい。あのアマゾン・ドットコムすら、赤字から抜け出せていない。
しばらくはヤフーと楽天が、この業界において提携、再編の中心プレーヤーとなることは間違いないだろう。
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部