アパレル名門「ワールド」の構造改革は成功するか コロナ直撃企業のための財務的な危機回復方法
オムロンは、センサーロボットなどの制御機器、スイッチやコネクタなどの電子部品、駅・交通・道路管理などの社会システム、医療機器などのヘルスケアという4つのセグメントを抱えているが、2020年3月期から2021年3月期にかけて、売り上げについては上記の4つのセグメントのうち最初の3つでは減収となったものの、ヘルスケアでは増収を確保した。また営業利益についても、社会システムは減益となったものの、残り3つでは増益を確保している。
その結果として、全社連結売上の減少は前年比で3.3%の若干の減少にとどまり、営業利益は14.1%の増加につながっている。
オムロン社長の山田義仁氏は、企業理念に基づいて自分たちのコア技術が生きる事業を明確にする「選択」(オムロンでは、事業ドメインとROICを基準に選択を行っている)と、特定の事業や顧客、国だけに依存せずに複数の事業を確立する「分散」の2つをベースに「選択と分散」という方針を打ち出している。この方針がコロナ禍の中でも安定した業績を確保することにつながっている。
このように、一般に分散型の経営は新型コロナウイルスの感染をはじめとする大きな環境変化に対するリスクヘッジの面では有効性があり、オムロンのケースではそのメリットが表れているといえる。
しかし、このような方向性は、一時話題となった「選択と集中」、つまり事業分野をある程度絞り込んで企業の方向性を明確にするとともに競争優位を磨き、事業運営の効率を高める方向性とは反するものである。この点についてオムロンは、「選択と分散」によって「選択と集中」のメリットが失われる可能性、つまり企業の方向性が不明確となったり事業運営の効率が低下したりする可能性を、経営理念の共有によって解消していると説明している。
ただ、この「選択と分散」の方向性を採用する場合には、選択の基準をどうするのか、分散をどこまで拡大していくのか、またその方向性を採用した場合のデメリットをどのように解消していくのかについて、よく検討していく必要があると考えられる。
ニトリは「抱える経営でコロナ堝でも増収増益」
また、固定費についても、大きな環境の変化の中では、その水準を低めにし、また可能な範囲で固定費を変動費化することで、売り上げが減少したときでもコストが減少するようなコスト構造に変化させ、結果として赤字になりにくく、利益を安定的に生み出せる利益体質に変えていくことができる。
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