アパレル名門「ワールド」の構造改革は成功するか コロナ直撃企業のための財務的な危機回復方法
アダストリアとワールドの比較分析から見えるヒント
前回見てきたように、アダストリアとワールドはコロナウイルスの影響を大きく受けている。しかし、業績の悪化はワールドのほうが激しい。
その理由としては、ワールドのほうが、EC化率が低く、海外売上高比率が低く、中でも感染が少ない台湾や中国の売上高が小さい、といった売り上げに関する違いがあげられる。また、自社製造比率が高く、従業員数が多く、正社員比率が高く、さらに店舗数が多い、といったヒトや設備に関連する売上原価や販売管理費の大きさ、中でも固定費的な費用の負担の大きさに関する違いがあげられる。
このような点から考えると、コロナの感染拡大といった大きな環境変化の中で業績悪化を少しでも回避するためには、EC化率の向上や海外比率の向上などを通じて、時代の流れに沿う形でチャネルや地域展開での分散を進めること、また人件費や製造や店舗といった設備関係費の水準を下げ、さらにその中の固定費を可能な範囲で圧縮していくことが有効だと考えられる。ただ、人件費については、日本の給与水準が必ずしも高くないことを考えると、単なる削減というよりは生産性を高めるという視点が大切になりそうだ。
なお、このうちチャネルや地域展開の分散化の延長上で、事業自体の分散化が、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、業績の維持につながった企業もある。具体的には、オムロンだ。
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