アパレル名門「ワールド」の構造改革は成功するか

コロナ直撃企業のための財務的な危機回復方法

新型コロナウイルスの感染拡大で、業績悪化した企業への経営の「ヒント」を探ります(イラスト:Viktor Morozuk/iStock)
「会計とファイナンス、必須スキルを1冊で学べたら……」というビジネスパーソンの願いをかなえたのが、『専門家以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書』。発売から2年以上経つが、多くの読者に読まれているロングセラーだ。
著者の西山茂氏は早稲田大学ビジネススクールの教授であり、公認会計士でもあるので、「専門家以外でも知っておいたほうがよい」会計・財務の知識・スキルを解説するにはもってこいの人物。その西山氏が新型コロナウイルスの感染拡大で、業績悪化した企業への「ヒント」を探る。

アダストリアとワールドの比較分析から見えるヒント

前回見てきたように、アダストリアとワールドはコロナウイルスの影響を大きく受けている。しかし、業績の悪化はワールドのほうが激しい。

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その理由としては、ワールドのほうが、EC化率が低く、海外売上高比率が低く、中でも感染が少ない台湾や中国の売上高が小さい、といった売り上げに関する違いがあげられる。また、自社製造比率が高く、従業員数が多く、正社員比率が高く、さらに店舗数が多い、といったヒトや設備に関連する売上原価や販売管理費の大きさ、中でも固定費的な費用の負担の大きさに関する違いがあげられる。

このような点から考えると、コロナの感染拡大といった大きな環境変化の中で業績悪化を少しでも回避するためには、EC化率の向上や海外比率の向上などを通じて、時代の流れに沿う形でチャネルや地域展開での分散を進めること、また人件費や製造や店舗といった設備関係費の水準を下げ、さらにその中の固定費を可能な範囲で圧縮していくことが有効だと考えられる。ただ、人件費については、日本の給与水準が必ずしも高くないことを考えると、単なる削減というよりは生産性を高めるという視点が大切になりそうだ。

なお、このうちチャネルや地域展開の分散化の延長上で、事業自体の分散化が、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、業績の維持につながった企業もある。具体的には、オムロンだ。

次ページオムロンは「選択と集中」ではなく「選択と分散」
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