東大合格者の遠回りのようで効率的「理科学習法」

「鉄緑会」講師が蓄積されたノウハウを伝授

物理の誤った学習法②:理論偏重

次に2つ目の学習方法についてふれます。実は、私(守川)が高校2年生で初めて物理を学習したときに陥ったのもこの学習方法でした。物理は数少ない法則から成り立つのだから、その法則をしっかりと理解していればどんな問題でも解けるという理屈です。

残念ながらこれも正しい学習方法ではありません。教科書を完璧に理解しているからといって問題を解けるほど大学入試は甘くはないのです。上の料理の例えでいうと、未経験者が本を読んでレシピを覚えてもうまく料理できないのと同じです。

実際、研究機関である大学が入学後の学生に求めているのは、教科書に書かれているようなすでに確立された理論を理解する能力はもちろんのこととして、未知の現象を目にしたときに、既存の知識を応用してその現象を正しく分析する能力です。

このような能力は持って生まれたものではなく、研究室に配属され、先輩や教員からやり方を教わったうえで、自分で試行錯誤を重ねて習得するものです。入試問題を解くという作業は未知の現象を分析することに相当します。典型問題の解き方を教わったうえで新規問題を自力で解くという作業は、大学入学後に求められる能力の訓練とも言えるでしょう。

「理解」の5つの段階

鉄緑会の授業は、高3の9月までは講義中心、そして10月から12月は演習中心になります。ただ、講義中心、演習中心といっても、それぞれ講義のみ、演習のみをするわけではなく、講義中心の回であっても学習したことを理解しているかを試すテストは毎回行いますし、逆に演習中心の回であっても生徒が忘れやすそうな基本事項は必ず復習するようにしています。

高3の4月の段階では入試レベルにはほど遠い生徒たちも、12月までの9カ月間で

1 法則を理解する段階
2 例題を通じて法則の使い方を知る段階
3 新しい問題に対して法則を自分で使ってみる段階

と段階を踏んで成長していきます。前述の2つの学習方法は、それぞれ1・2なしに3に進むことと、1・2のみに固執することに相当します。前段階なしに次の段階に進むことが不可能なのは言うまでもありせん。この3段階を順調に進めれば、一般の大学入試であれば問題なく突破できるでしょう。

ただ、中にはさらに上の段階まで進む生徒もいます。それは、

4 解けた問題のさまざまな別解を検討する
5 解けた問題の条件設定を変えて解いてみる

という段階です。つまり、単に問題を解けただけでは満足しない意欲的な生徒です。この段階まで進めれば、最難関である東大理Ⅲであっても余裕を持って突破できるようになります。

次ページ次は「化学」の学習法
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