東大合格者の遠回りのようで効率的「理科学習法」 「鉄緑会」講師が蓄積されたノウハウを伝授
化学の計算問題を解く際には、あくまで「扱っている対象は実在する物質である」という意識を忘れないようにしましょう。
そして、「おおむねどの程度の値になりそうか/なるべきか」という感覚(オーダー感覚)をつねに持ち、自らの計算結果をそれと照合して「自然現象として妥当であるか否か」をチェックする習慣を付けましょう。
例えば、金属の比重を求める計算問題であれば、答えはどの程度の値になるべきでしょうか。水の比重が1です。リチウムのように極めて軽い金属の場合、比重が水より小さく0.5程度になることもあります。逆に金や白金は極めて重い金属で、比重が20前後となります。
よって、金属の比重はおおむねこの範囲に収まるべきであり、そのオーダー感覚があれば、自分の算出した金属の比重が50000などという値になってしまった場合、どこかで計算ミスをしたことに自ら気づけるはずなのです。
逆に、自らの算出した値の明らかな異常さに気づけないというのでは、自然現象を扱ううえで不健全な状態と言えるでしょう。
純粋に覚えなければならない量を半分以下にできる
高校化学の3大分野のうち、無機化学・有機化学分野は、種々の化合物の性質や製法を学んでゆく分野であり、一般に暗記分野と言われています。
世間ではこれらを「反応式などをひたすら暗記してゆく無味乾燥な暗記分野」とする誤解がはびこっています。
確かに教わる知識の絶対数は多いのですが、それらの事項のうち多くの部分が、理論化学で学んだ原理に基づいて考えることで、その必然性が納得できるようになっているのです。
種々の反応式を学ぶ際には、毎回「この反応はどう考えれば自然な反応と理解できるか」という視点を持ち、知識を「理解しながら習得する」ように努めましょう。
そのような理解をすることで、純粋に覚えなければならない事柄の量は、世間一般で思われている量と比べて半分以下に減らすことができるはずです。
例えば、無機化学においては、各反応における加熱の必要性の有無というのが重要な学習事項となります。それを1つ1つ暗記しているとらちが明きません。各反応の推進原理を理解していれば、加熱の必要性の有無は「いちいち覚えなくても意味を考えればわかること」となります。
反応式の字面を暗記するのではなく、その推進原理までさかのぼって理解することは、遠回りのように見えて実は最も効率的なのです。
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