国内の「うつ」は17.3%コロナ禍で割合増の深刻 当事者や家族が直面する問題とはいったい何か
経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査によると、日本国内のうつ病・うつ状態の人の割合は、2013年調査では7.9%だったのに対し、新型コロナウイルス流行後の2020年には17.3%と約2倍に増加している。
近年、著名人がメンタルヘルスの問題をオープンにすることも増え、うつ病などの精神疾患は身近なテーマになりつつあるといえる。
しかし、精神疾患を持つ患者の家族が抱える困難はいまだ広く知られていない。当事者や家族が直面しうる課題には、どのようなものがあるのだろうか。うつ病患者の家族向けコミュニティーサイト「encourage」の運営を行う株式会社ベータトリップ代表取締役の林晋吾さんにお話を聞いた。
株式会社ベータトリップ代表取締役。2005年3月早稲田大学卒業後、7年間大手総合金融サービス会社で国内法人営業、事業企画業務に従事。2012年より経営コンサルティング会社にて中堅中小企業向け事業再生や、IPO準備会社の支援、国内大手メーカーの事業戦略構築等、幅広いプロジェクトに携わる。2015年12月、株式会社ベータトリップ設立・代表取締役就任。
「診断を受けてほっとした」当事者が抱える葛藤
うつ病など精神疾患を抱える方の家族のためのオンラインコミュニティーサイト「encourage」を運営する林さん。サービス立ち上げのきっかけは、自身がうつ病で苦しんだ経験だった。
「新卒で入社した会社で、5年ほど経ったときに患ったパニック障害が引き金となり、のちにうつ病と診断されました」
林さんはなぜパニック障害やうつ病を発症してしまったのだろうか。
「いくつかの要因が絡み合っていたように思います。新しい部署に異動して、慣れない環境の中、『早く成果を出さなければ』と強いプレッシャーを感じていました。
そんなストレスの中で、仕事量も多く終電で帰宅する毎日。気づかぬうちに、肉体的にも精神的にも疲弊しきっていたんです。ある日、パニック障害を発症しました」