国内の「うつ」は17.3%コロナ禍で割合増の深刻

当事者や家族が直面する問題とはいったい何か

(写真:AC)

どうにかして通院に至っても、当事者を支える家族には不安や葛藤がつきまとう。

「服薬や治療が継続しにくいという問題があります。うつ病で処方される薬は、一定期間服用を続けて効能があらわれるようです。主治医は本人の様子を診て量や種類を調整していくので、よりよい状態を目指すために薬が増える場合もあるようです。

ただ、患者さん側の前提知識や医師とのコミュニケーション不足によって、自己判断で服薬や通院を中断してしまうケースがあります。

家族が治療について知りたいと思っても、医療機関の方針や体制が整っていない等の事情によって診察への同席を拒まれることもあります。家族からすると、『医者が話に耳を傾けてくれなかった』という不信感が芽生えやすい。

医療機関、患者さんと家族、双方がお互いの事情や背景を理解し、適切なコミュニケーションをとる必要性を痛感しますね」

休職・退職してもなお、続く苦しみ

会社を休職する場合にも、膨大な書類に目を通し、職場と定期的にコンタクトを取る必要があるなど、患者への負担は大きい。本人に代わって家族が対応しようにも、あまりの手続きの煩雑さに行き詰まるケースが多いという。

復職するためには、一般的に主治医や産業医との面談を通じて復帰が可能か判断を仰ぐ。しかし、休職期間が長引くほど、経済的な不安も大きくなる。万全の体調でなくとも復職を焦る本人をどう説得するか。家族にとっては非常に悩ましい課題だ。

「やむをえず退職となっても、依然として不安な状況は続く」と林さんは語る。

「支える家族の立場によって不安はさまざまです。親としては会社を辞めた子どもが1人暮らしを続けていて様子がわからないと心配になることもある。配偶者であれば、家計を支えるために働き方を変えなければいけないなど経済的な不安が強いでしょう。子どもは、親の苦しむ姿を目の当たりにしています。そんなときに結婚や昇進など自身にとって喜ばしいライフイベントがあったとしても、本当にその選択をしてよいのか、自分が親を支えなければいけないのではないか、と葛藤するんです」

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