岸田新首相が投資家を不安にさせる3つのリスク

目先の衆院選は乗り切っても2022年以降が怖い

【1】「財政再建」への無駄なこだわりを増税に利用されるリスク

まず、もともとの岸田氏の主張が「財政再建」寄りであることだ。今回の選挙戦では、アベノミクスの修正論を封印して戦ったが、「財政再建の旗は降ろさない」とも述べている。

今は、財政を緊縮に向かわせるときではない。無意味な旗を掲げていると、悪いタイミングで余計な増税を決めるダシに使われてしまいかねない。

金融所得課税は「貯蓄から投資」への流れに逆行

1つの候補は、総裁選でも岸田氏が触れた金融所得課税の強化だ。高額所得者は、株式などからの所得が多いので、総所得が1億円を超えるあたりから、所得に対する実効税率が下がる傾向がある(俗に「1億円の壁」と呼ばれる)。

現在の所得税と住民税を合わせた最高税率は約55%だが、株式等による金融所得は約20%の税率の分離課税なので、後者の比率が高くなると総所得に対する税率が下がるのだ。

そこで、「格差」に対する対策として、金融所得に対する課税を強化するという趣旨なのだが、これは「貯蓄から投資へ」の流れに逆行しかねない悪手だ。

そもそも、リスクを取って儲けることを今よりもさらに強く罰することは不適切ではないか。

例えば、金融資産を8億円持っていて株式投資しているA氏が(もちろんリスクを取って)2億円稼いだ場合に約4000万円課税されるが、10億円持っていて全額じっと銀行預金に資金を置いたままのB氏はほぼゼロ金利なのでほとんど課税されない。同じ資産額10億円のお金持ちに対して要求する税負担として不適切ではなかろうか。投資の利益を過剰に罰しているように見える。

次ページ2つ目、3つ目の不安材料とは?
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