高い山より危険!流行する「近場で登山」のリスク 秋の山で遭難しないための「7つの鉄則」
消防や警察の山岳救助隊は公的な機関のため救助の費用は発生しないが……。
「ただし、公的な救助隊だけでは捜索できないことがあります。そのときは各都道府県の山岳連盟などにある捜索対策協議会のメンバーが仕事を休んで捜索にあたります」
メンバーの日当、交通費、保険代など1人当たり1日5万~10万円ほどかかることもある。
「人数と日数をかけた金額を請求されます。高い山には公の救助隊があるんですが、低い山は地元の団体にお願いをするケースが多いので遭難して救助をお願いした場合はお金がかかります」
遭難は「人を選ばず、時を選ばず、山を選ばず」
「低山ではないですが、槍ヶ岳で8人パーティーが遭難。1人が滑落し、亡くなった事故がありました」
実は滑落をした人が新型コロナに罹患、無症状だった。
「パーティー全員と救助隊、ヘリコプターの救助隊も濃厚接触者になりました。そうなるとその数人は何日間かの救助活動はできないので、ほかの隊員たちに負荷がかかるんです」
ワクチンを打ったから、と登山をする人も増えているというが、山中で副反応で動けなくなった人もいた。
「この時期、山に行くこと自体がリスクになるんです」
コロナではなくても、体調が悪い状態で山に登ることはそもそものNG行動だ。
クマやシカが登山道に現れることもある。
「シカは大声を出せば逃げていきます。ですが、問題はクマです。絶対に近づかないようにしてください」
心がけや事前の準備で遭難や事故のリスクは減らせる。
「私たちは“3ず”という言葉を使っています。遭難は“人を選ばず”“時を選ばず”“山を選ばず”。高い山だから危険で低い山なら安全というわけではない。そうした意識が根底にあるから事故が起こります。
山はとても魅力的ですごく楽しいんですが、危険も多いんです。気軽に訪れられる場所であってもリスクがあることを知っていただきたい」