──もはや強力なワンマンのトップダウン型ではダメな時代に?
私が考えるリーダーシップは、いろんな人間が集まる多様性の中で、それぞれの考えを理解し、価値を認め、強み・弱みを把握して、一緒に物事を創造する形です。みんなで一緒に考えながら進んでいく。混沌の時代、一人ではできないことを補い合うことが要求されると思うんですね。
英語でリーダーシップというと、自分の人生に対するオーナーシップの意味合いが強い。自分の意志で何かを成し遂げていくことが大事と考えます。なので、それぞれの分野、立場で正しいと信じること、必要と思うことを行動に移していくのがリーダーシップ。個々が能動的に自分の力を出し切り、補い合って築いていくほうが絶対総力は上がるはずです。ゼロから立ち上げていく時代では、一人の声の大きいリーダーとそれに従うチームでは無理なんですね。各人が自分のオーナーシップを持って全力で挑んでいかなくては。
──30代半ばで学校設立に向かって動きだし、10億円の寄付を集めた小林さんは、猪突猛進型のパワフルリーダーと想像していました。でも著書の中では、できないことは受容する、待つ、感謝する、縁を大切にする、上手に頼る、というような、等身大の協調型リーダーを志向されていますね。
はい、相手の力を巧みに生かす合気道型です(笑)。原点はカナダの高校留学で自分の不完全さを思い知った大挫折でした。ただ、そんな私にも得意なことはある、ならば周りの目立たない人たちもみんな何か強みを持ってるはずだと。物静かな女子学生が実はすごく聡明だったり、やはり無口なブータン人留学生が見事なリーダーシップを発揮するのを発見したりして、地味で目立たない人でもみんな何かを持ってるんだと確信した。それでみんなのよい部分のほうを探すようになりました。
これまで夢や価値観で波長の合う人とは時間や組織を超えてずっとつながってきました。私がこのプロジェクトを始めたとき、彼らがボランティアや資金面で支援してくれた。スティーブ・ジョブズ曰く、点と点がつながり面となる瞬間がある。その瞬間が来るまで、価値観を共有している人とは利害を超えてつながっていくことが、いつか必ず生きる。それがチーム作りになると感じます。そしてチームをもっと強くしていくために、「私はこれはできない、助けて」と宣言する。すると補ってくれる人が次々と現れる。そしてその人自身の中で、自分は自らが共鳴するプロジェクトの不可欠な一員なんだというオーナーシップ、当事者意識が強まる。こうなるとチームは強いですよ。
──そうであれば、リーダー自ら不完全な自分を認め、不完全な分野は捨て、不完全な部分は伝える、という決断に葛藤はないのですね?
そうですね。自分の弱みを隠さなくていい雰囲気をチーム内に作ることが大事ですね。もしも無理そうなら早めにSOSを出してくれれば、誰かしらフォローして解決できる。
この本は、今悩んでる20代の人に、悩んでもいい、ただきちんと行動し続ければ必ず何かに到達できると言いたくて書いたんです。一人では難しくても、同じ価値観と志を持った仲間となら絶対に克服できる。自分の不完全さをさらけ出し、助けてと伝え、感謝することを繰り返していけばチームとして成長していく。それは誰でもできることなんです。
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