フランス、2年で「仕事・家族・恋愛」こんな変わった フランス在住の2人が久しぶりに熱く語り合う

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エマニュエル : そうだね。それにこの働き方の変化は本当にさまざまな影響があって、社会生活に隕石が落ちたかのような衝撃だった。都市部はとくに自宅と職場が離れている場合が多く、感染を避けるために公共の交通機関を避けることも多くなり、自宅周辺から離れる機会も以前よりかなり減ってしまった。

結果として、コロナ以前は頻繁に行われていたフランス人の大好きな“ビジネスランチ”の重要性も下がったというわけだ。以前のように自社、他社問わず社員同士の情報交換の機会が減ったということは、各自の人脈・情報の”ネットワーク”の構築がしづらくなってしまったことになる。特定の職種(新技術の開発など)においては、この”ネットワーク”こそが個人だけでなく業界全体においての利益のもとでもあった。

予定を合わせるのがものすごく大変に

くみ:同僚とのビジネスランチだけでなく、友だち同士で出かけることも楽ではなくなってしまったよね。

エマニュエル:そうだね。1つ例を挙げようか。ジャン、ジャック、ポールの3人の友人がそれぞれパリの9区、11区、15区で勤務していたとしよう。コロナ以前では、気軽に仕事帰りにどこかのバーで1杯飲むことができた。

しかし、ジャンがパリ南部の郊外、ジャックがパリ西部の郊外、ポールがパリ北部に住んでいて、各々が週に2回職場に出勤していたとしても、それぞれが同じ日に出勤しているとは限らないのでそう簡単に仕事終わりに飲みに集まる事もできなくなった。それなので、どうしても友だち同士で仕事後に会うとなると、何日も前から日にちを全員で合わせて会うしかないため、必然的に、友だち同士でこうやって会う機会も減ってしまうわけだ。このジャンとジャック、ポールがテレワークをあまり好まないとしても、オープンスペースのオフィスでは社会的距離を確保するために1日の出勤者数を制限するため、週に数日以上のテレワークを会社から要請されることもある。

くみ : 仕事関係だけじゃなく友だちと会うことも減ったというのはまさにそう。激減した。それに、たとえ実出勤日が重なってたとしても、カフェが閉まっていたりして、外で会う場所もない時期もあったよね。季節がよければフランスは公園などでおしゃべりすることもよくあるけど、いい季節ばかりではないしね。あと、恋愛にもすごい影響が出たと思う。

エマニュエル : 確かに恋愛関係においても少なからず影響はあっただろうね。テレワークによって男女の出会いの場自体が激減したからね。友だち同士で会うのと同様、男女の最初のデートの日程を決めるのも楽ではなくなったから、コロナ以前よりも会う相手を慎重に選ぶようになったんじゃないかな。

特にロックダウン時は、デートできるようなレストランだとか美術館、映画館、劇場なんかはほぼ閉まっていたり、規制がしかれていたりしたからね。

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